8月映画まとめログ(2026)

きくらげ雑多ブログ
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8月映画まとめログ(2026)

このシリーズは、きくらげの映画鑑賞メモです。
ネタバレを避けた軽いあらすじと、見終わった直後の印象だけを残しています。

今月はホラーだけに偏らず、心理スリラー、SF、ダークファンタジー、宗教的寓話まで幅広いジャンルを鑑賞しました。派手なアクション作品というより、「考えさせられる映画」が多く、鑑賞後の余韻まで楽しめた一か月だったように思います。

※この記事ではネタバレを避け、個人視聴ログとして簡単な感想のみをまとめています。レビュー評価はしていません。あくまでも個人の印象です。

一部の作品については、別館にてネタバレ込みで深掘りトークを行っています。

興味のある方は、別館「ホラー館」ラベルをご覧ください。

 


■ マザー!(2017・アメリカ) 監督:ダーレン・アロノフスキー

【あらすじ(ネタバレなし)】
人里離れた屋敷で暮らす一組の夫婦は、穏やかな日常を送っていた。 しかしある日、一人の見知らぬ男が突然訪ねてきたことをきっかけに、その生活は少しずつ崩れ始める。 さらに男の家族や大勢の来訪者が次々と屋敷へ入り込み、妻は居場所を失っていく。 夫は不思議なほど彼らを受け入れ続け、屋敷の混乱は次第に制御不能となっていく。 静かだった家はやがて狂気と暴力に包まれ、現実とも悪夢ともつかない光景が広がっていく。 象徴的な描写を積み重ねながら進む、異色の心理スリラー。

▶感想:
物語というより”寓話”として観る作品でした。なんにも知らずに観るとかなり観客置いてけぼりではありますが、ネタバレ回避しつつギリギリのヒントでいうと『聖書』という言葉だけ知ってればすごく深く楽しめます。観終わったあともあらためて調べながら 意味を考え始めると非常に奥が深く、鑑賞後もしばらく考えさせられます。当時賛否両論の激しかった作品、でもそれをわかってて作りたいものを追求してここまでやりきって完成させた監督やスタッフ陣営の熱量はすごく感じます。 好き嫌いは分かれますが、印象には強く残る一本で、映画史に残る作品だと思います。

 


■ ガール・イン・ザ・ミラー(2018・スペイン) 監督:マルク・カルパネ

【あらすじ(ネタバレなし)】
交通事故から生還した若い女性は、事故以前の記憶をほとんど失ってしまう。 退院後、自宅へ戻った彼女は、家族や恋人との関係にもどこか違和感を覚え始める。 鏡に映る自分の姿さえ現実味を失い、周囲では説明のつかない出来事も続いていく。 失われた記憶を取り戻そうとする中で、自分自身に関する驚くべき事実へ近付いていく。 現実と幻想の境界は曖昧になり、物語は予想外の方向へ進んでいく。 心理描写を重視したミステリーサスペンス。

▶感想:
かなりJホラーでは使い回されてて馴染みのある題材ではあるのですが、そこで止まらずきちんと新しい解釈があり、なにより主人公の心というものが丁寧に描かれています。 派手さはありませんが、構成がしっかりしています。 静かに引き込まれるタイプの作品でした。そしてこの映画の最大の成功要因は、間違いなくインディア・アイズリー。とにかく強い。その美貌が。二役の演じ方もきっちりできてて、テーマやストーリーにバチッとハマってました。ラストだけちょっと惜しいと個人的には感じましたが、とても面白かったです。

 


■ ボーダー 二つの世界(2018・スウェーデン/デンマーク) 監督:アリ・アッバシ

【あらすじ(ネタバレなし)】
税関職員として働くティーナは、人の感情や後ろめたさを嗅ぎ分ける不思議な能力を持っていた。 ある日、自分とどこか似た雰囲気を持つ男ヴォーレと出会い、彼女の日常は大きく変わり始める。 彼との交流を通して、自分の出生や身体に隠されていた秘密が少しずつ明らかになっていく。 社会の中で”普通”として生きてきた彼女は、自らの存在そのものを見つめ直すことになる。 人間社会と異なる価値観が交差し、物語は独特の世界観を広げていく。 北欧神話を下敷きにしたダークファンタジー。

▶感想:
かなり独創的な作品でした。 単なるファンタジーではなく、人間とは何かを問い掛ける内容になっています。一口にいうなら道徳。 最初は、んー?と思うのですが、その違和感はすぐに開示され、観客置いてけぼりにはなりません。そしてそこから主人公はどう心が変わっていくのかな、最後になにを選択するのかな、ずっと引き込まれてます。終わり方がとにかく美しい。面白いだけでなく斬新でいて道徳的で、非常に印象に残る一本でした。観客を選ばないタイプだと思うのでオススメできますね。

 


■ リターン・トゥ・サイレントヒル(2025・アメリカ) 監督:クリストフ・ガンズ

【あらすじ(ネタバレなし)】
ジェームズは、かつて深く愛した女性との思い出を胸に生きていた。 しかしある出来事をきっかけに、再び霧に包まれたサイレントヒルへ足を踏み入れることになる。 町は以前と変わらず異様な静けさに包まれ、不気味なクリーチャーたちが徘徊していた。 ジェームズは町を探索しながら、自身の過去や心の傷と向き合っていく。 現実と幻想が入り混じる世界の中で、真実は少しずつ姿を現していく。 人気ゲーム『サイレントヒル2』を原作としたサイコロジカルホラー。

▶感想:
ゲームへのリスペクトが強く感じられる作品でした。 映像や雰囲気作りも非常に良く、ファンには嬉しい内容です。 シリーズの世界観をしっかり再現していました。が、それだけ。ゲームの2を忠実に再現しようとした熱量は伝わりますが、映画として仕上げるにあたっては映画として再構成するべきだったと思います。とくにゲームを知らない方ですと、サブスクでホラーカテゴリーで、知ってるけど観たことないタイトルだな、と思って観てみると高確率で、は?となると思いました。そうして振り返ってみると2006年版のサイレントヒルはすごくクオリティ高かったなぁと再評価できました。

 


■ フォース・カインド(2009・アメリカ) 監督:オラトゥンデ・オスンサンミ

【あらすじ(ネタバレなし)】
アラスカ州ノームで、多くの住民が同じような悪夢や睡眠障害を訴えていた。 精神科医アビゲイル・タイラーは、その原因を探るため患者たちへのカウンセリングを始める。 催眠療法を進めるうち、患者たちは共通する不可解な体験を語り始める。 録画映像や証言は次第に異常性を増し、調査は思いもよらない方向へ発展していく。 実際の事件を再現したかのような演出で、不安感が積み重ねられていく。 ドキュメンタリー風の手法を取り入れたSFサスペンスホラー。

▶感想:
フェイクドキュメンタリーとして非常に雰囲気があります。 真偽を曖昧にする演出が上手く、不気味さを引き立てていました。 公開当時に話題になった理由も納得できる作品です。しかし、中身はペラペラです。入り口の発想は良いと思うんです。ただのPOVとか記録映像ってだけでなく、実際の映像として見せるもの、それの再現Vとして見せるもの、記録映像として見せるもの、記録映像のない隙間のドラマを再現ドラマとして見せるもの、それらを組み合わせて映画としたことは面白いと思いますが、ストーリー構成が悪すぎました。ホラーにもSFにもサスペンスにもミステリーにも、どれにも寄らず、また治療や調査についてもあまりにも穴が多く、結局なにを見せたかったのかわからない作品になっちゃってます。中身をちゃんと丁寧に作れば良作になった作品ですね。

 


■ (r)adius/ラディウス(2017・カナダ) 監督:キャロライン・ラブレシュ/スティーヴ・レナード

【あらすじ(ネタバレなし)】
交通事故から目覚めた男リアムは、自分が誰なのか記憶を失っていた。 助けを求めようと町へ向かうが、自分の周囲で人々が突然命を落としていく異常事態に気付く。 原因が自分にある可能性を知った彼は、人との接触を避けながら真相を探り始める。 やがて同じ事故に関わった女性と出会い、不可解な現象にはある法則があることが見えてくる。 二人は互いの記憶と事件の謎を追いながら行動を共にする。 SF設定を軸に、人間ドラマとミステリーを描いた異色のサスペンス。

▶感想:
設定が非常に秀逸な作品でした。 低予算ながらアイデアで勝負している印象です。距離、善悪、反転、それがキーワードでテーマでそしてメッセージとしては、人を人たらしめるものはなにか、くらい大きなことを前に出してる作品で、とても道徳的でした。ラストもこういうのって投げっぱになりがちですが、すごくちゃんと着地してて、美しいと思えるお話で、ラストまで含めて満足度の高い一本でした。これは推したい。

 


■ ブレイド シリーズ(1998〜2004・アメリカ)

【シリーズ概要(ネタバレなし)】
『ブレイド』シリーズは、人間とヴァンパイアの混血として生まれたブレイドが、人類を脅かすヴァンパイアと戦い続けるダークアクション作品。 現代社会の裏側で暗躍するヴァンパイア社会を舞台に、人間側には知られていないもう一つの世界が描かれる。 第1作では、ブレイド誕生の背景や宿敵との戦いが描かれ、シリーズの世界観が築かれる。 『ブレイド2』では、新たな突然変異種の出現によって、人間とヴァンパイアの両方が共通の敵へ立ち向かうことになる。 『ブレイド3』では、ヴァンパイア側の計画は最終段階へ進み、ブレイドも新たな仲間たちと共に最後の戦いへ挑む。 シリーズを通して、スタイリッシュなアクションとヴァンパイア映画らしいダークな世界観が貫かれている。 MCU誕生以前のマーベル映画としても重要な位置付けとなるシリーズ。

▶感想:
恥ずかしながら1作目しか観たことなくて、あんまり記憶にも残ってませんでした。今回まとめて一気に観た感想です。
サングラス、黒いロングコート、格闘、スタイリッシュ、という記号を作ったアクション映画の転換、先駆け的な作品ですね。後のマトリックスやアンダーワールドなど、ブレイドの系譜はたくさんあります。
本作最大の長所は、やはりウェズリー・スナイプス本人の身体能力。
空手、柔術をはじめ複数の格闘技経験を持ち、単なる俳優によるアクションではなく、本人自身がかなり動ける。これが強いです。筋肉、豪快、爆発、そういうアクションでなく、現実的なCQCのような本格アクションはウェズリーならではで、こうした近代格闘の要素を織り込んだのもブレイドだと思います。
特に1作目は今観ても古さを感じにくく、アクション映画として十分楽しめます。
しかし、2作目は新しく技術として入ってきたVFXによるアクション演出がかえって動けるキャストたちの見せ方の邪魔をしてた感じ。3作目ではそこは修正されて、本人の運動で見せるべきところはしっかりと本格的に、そしてヴァンパイアらしい人間離れしたシーンではワイヤーアクションやVFXにするなど、上手くバランスはとれてます。
しかし3作目になるともうそうしたアクションは世にたくさんあるので、尖ってないんですよね。
なので全体通して重要になるのはスシナリオ、ヒューマンドラマ。ここがとにかくペラペラなんです。
だから記憶に残りづらい。とても惜しいです。
現在のマーベル映画へ繋がる流れを考えても、映画史的に価値のある作品ではあることは間違いないと思いますが、ストーリーやドラマに関しては非常に残念といわざるをえず、惜しいシリーズですね。掘り下げトークは別館にて。

 


■ ハンガー・ゲーム シリーズ(2012〜2015・アメリカ)

【シリーズ概要(ネタバレなし)】
『ハンガー・ゲーム』シリーズは、独裁国家パネムを舞台に、一人の少女カットニス・エバディーンが時代の象徴となっていく姿を描いたディストピア作品。 第1作では、妹の身代わりとして命懸けの殺し合い「ハンガー・ゲーム」へ参加することになり、生き残るための戦いが始まる。 『ハンガー・ゲーム2』では、前作で生き残ったカットニスが再びゲームへ巻き込まれ、その裏で国家規模の反乱が動き始める。 『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』では、ゲームから戦争へと舞台が変わり、各地区は独裁国家への反撃を開始する。 『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』では、長く続いた戦いがついに終局を迎え、カットニスは最後の決断を迫られる。 4作品を通して、一人の少女の成長と戦争、権力、プロパガンダを丁寧に描き切ったシリーズとなっている。

▶感想:
マザー!を観たから女優繋がりで久々に観ました。当日1作目を観たあと体調悪かったで2作目を観れなかったので、その先も観てなかったのでほぼ初見です。一本ごとの完成度も高いですが、4作を通して一本の長い物語として観ることで真価を発揮するシリーズでした。 キャラクターの成長や心理描写も丁寧で、単なるサバイバル映画では終わりません。 戦争や政治まで含めたテーマ性がしっかりあり、非常に見応えがありました。1作ごとにちゃんと核があって、次へちゃんと繋がる前段階として、どれもとにかく丁寧で、急展開にもならず、展開の文脈がしっかりしてる。そして最後になにを見せなにを伝えたいかのメッセージもきちんと前にでてます。観たまま感じたままのこと、深く考えなくてもちゃんと伝わる、それだけしつこいようですが丁寧で、極めてバランスとれた整理された作品として、評価できます。完結編のラストシーンだけはもう1つ惜しかった部分はあるかな。でも綺麗な着地でした。
ただ、良い悪いでなく純粋な好みとして、何度も観たい作品かな?というと全然そんなことはなくて、面白かった、で終わる作品でした。これは私の好みですね。

 


【8月まとめ】

今月はホラーだけでなく、SF、ダークファンタジー、アクション、社会派ドラマまで幅広い作品を楽しんだ一か月でした。 『マザー!』『ボーダー 二つの世界』『(r)adius/ラディウス』のように、「設定そのもの」で引き込む作品が多く、鑑賞後に考察したくなる映画が目立った印象です。

一方で、『ブレイド』や『ハンガー・ゲーム』といったシリーズ作品では、単体の面白さだけでなく、複数作品を通して積み重ねられる世界観やキャラクターの成長をじっくり味わうことができました。惜しいところも含めてとても考察は楽しかったですね。 また、『フォース・カインド』や『リターン・トゥ・サイレントヒル』のように、作品独自の空気や演出を楽しめる映画もあり、ここもまた、いやこうしたらもっとずっと良かったのに、という惜しい作品をどうしたら良くなったかを考える時間も楽しかったです。

全体としては、派手なホラーで驚かせる作品よりも、設定やテーマ、人間描写をじっくり味わう作品が多く、道徳ですね。鑑賞後まで余韻の残る充実した映画体験ができた一か月でした。

 

本記事は鑑賞記録としての内容に限定しています。
個人的な余談や派生の話題は別サイト側に整理しています ↓

もっと見たい方はこちら
⚠ 注意: この先はネタバレを含み、ホラー特有の流血や少しグロテスクな表現に触れています。苦手な方や18歳未満の方はご遠慮ください。ご覧になる際は自己判断でどうぞ。

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