食事の管理は慣れるまではとても難しい。クローン病に合った食事の形態を理解し身に付けるだけでも大変なのに、自分に合った形態にまで基礎を昇華させなければなりませんから、誰しもそれなりに時間を要します。
しかし、ではベテランのクローン病患者さんならしっかり管理できてるかな?
というと、存外そうでもありません。
じゃあ、なにがどうそうでもないの??
新規カテゴリーのこちらで、きくらげが1番最初に伝えたかったこと。食事の基本的なお話になります。
エレンタールと牛丼
この見出しが言いたいことそのものになってますが、こーゆーのをSNSではよく目にします。
日頃の投稿で、
「お腹痛い……」、「下痢が続く……」、「また下血したよ~」
と、辛さ大変さ、状態の悪さ呟いているのに、そうしたユーザーさんの1日のコメントを見てみると、
朝はテキトー、昼は牛丼だったりマックだったり、あるいはカップ麺だったり、おやつにケーキとか洋菓子、それとコーヒーや人工甘味料たっぷりの飲料や某コーヒーショップの◯◯フラペチーノみたいなクリームたっぷりだったり、そして夜はエレンタールだけ。
これで良いと思ってるしこれでちゃんと食事療法、栄養療法できてると思ってる患者さん、結構います。
このような食事の取り方は、まったく意味がありませんのでまったくオススメできません。
そもそもエレンタールはなんのために飲んでいるのでしょうか?
先に挙げたような食生活を、悪いとわかっててやっている方もいます。自己責任ですし、
「別にもういいんだ~」、「食事療法にはコリゴリ!悪くなってもそんときゃそんときで受け入れる!」
という方もおりますし、やりたいようにやるのは自由ですから、それは結構だと思います。しかし、そういうわけではなく、純粋に栄養療法の意味を間違って捉えて実行している方もまた多いです。
【エレンタール】、完全消化態栄養、消化の必要がほぼなくそのまま吸収される栄養剤。
本来、クローン病や潰瘍性大腸炎などのIBDは、絶食することが1番お腹にとっては良いです。消化器を使わなければそれだけダメージは少ないわけですから、当たり前ですね。
ですが中心静脈栄養でもやっていない限り、そんなことをしてたら栄養失調になってしまいます。
そこで、エレンタールなわけです。
消化の必要がなくそのまま吸収され、便もほとんど出ないエレンタールはお腹を守りつつ栄養はしっかり摂れる栄養剤です。
栄養療法の必要性と意味
エレンタールを必要としている状態なのであれば、それだけ病態も良くはないということ。
寛解期ならまた別ですが、お腹痛い、下痢が続く、そんな活動期という病態のときはさすがに食事には気をつけなければさらに悪化してしまいます。
せっかくエレンタールでお腹を守っているのに、牛丼だのマックだのカップ麺だの食べていたら無意味になってしまうということがわかるかと思います。
エレンタールを『ただの栄養剤』としてしか捉えていないと、こういう食事になってしまいがちです。
繰り返しますが、『お腹を守りつつ栄養を摂る』のです。
『エレンタールを飲んでるから食事の制限をゆるくしていい』、というのは大きな間違いです。
エレンタールと食事制限、併せて初めて栄養療法・食事療法という治療になるのだということを忘れないでください。
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