クローン病の普段の健康状態はどんなものでしょうか?腹痛や下痢が続く?落ち着いているときってないの?今回はそんなクローン病の症状によるステージ分けのお話をしていきます。
クローン病は前述の通り先天性ですが、発症は後天的です。これは『発症する因子を持って産まれてきた』と解釈するのがわかりやすいでしょう。
発症する時期は個体差がありますが、多くは10代の頃に発症します。
10代ですと成長期。学校もあります。同級生たちと同じことができないこともあります。
クローン病の治療、そして生涯この病と付き合っていくことに対し、本人も家族も戸惑い、将来に不安で、どうしていいかわからない絶望を感じる方も少なくはありません。
ですが、現代では根治はできなくとも健常者と近い文化的な生活ができる、上手く付き合っていける、そうした治療と生活スタイルが確立されつつあります。
現にクローン病だからといって直ちに『障害者』と認定され就職も結婚もできない、なんてことはありません。手術を三度している私も仕事をできています。
勿論、万全というわけではありませんが、病と付き合っていくことは十分に可能なのです。
ではクローン病のデフォルトの普段の健康状態はどのような水準か、良いときと悪いときはあるのか、というお話です。
寛解期と活動期
クローン病には『寛解期』と『活動期』というステージがあります。寛解期とは症状が落ち着いている安定している時期。活動期とは重症化へ向かっていく時期です。
活動期
『活動期』に関しては前回まででお話しました特徴的な病変が多く目立ち、最悪の場合は手術へ向かっていく重症化ケースになります。
- 発熱
- 下痢・下血
- 腹痛
- 痔瘻
- 体重減少
- 瘻孔など
こうした症状が長期的に続き、回復の兆しがみえない状態です。
別途記事にしますが、内科的治療を続けても回復がみられず、また、特徴的な病変である瘻孔の状態など、手術の必要性がでてきたら、手術になってしまいます。
ただ、【活動期=即手術】、というわけではありません。まずは手術の必要があるほど緊急性が高い状態か検査をし、直ちに行うほどの状態でなければ内科治療となります。
寛解期
症状が落ち着いている安定した状態です。
活動期とは異なり、熱がない、慢性的な腹痛がない、体重減少がない、下痢や下血がない、痔瘻がない、瘻孔がない、など、とりわけ深刻な症状もありません。
『寛解期』であれば、健常者よりも些か疲れやすかったり、倦怠感があったり、風邪をひきやすかったりとしますが、文化的な生活が十分にできます。
少し調子が悪くなってきて、活動期が近いようなステージでも、腹痛や下痢が起こりやすいくらいで、まだ文化的な生活ができます。このあたりを『軽症』と捉えるとよいでしょう。
誤解してはいけないのは、【寛解期=治った】では決してありません。
寛解期であっても、継続的に寛解維持目的で内科治療はずっと続きます。
寛解期と活動期の境の判断
しばしば、SNSなどで「下痢が酷い、活動期になったかも」、「このところ調子イイから寛解したっぽい」など、様々な『自己判断トーク』を見受けますが、寛解期か活動期かの活動期かの判断は医師しかできませんし、調整やそっと最近の調子の浮き沈みで判定できるものではありません。
明確にしたい、安心したい気持ちはよくわかりますが、あまり神経質に気にしすぎるのもお腹には良くありませんので、体調チェックは必要ですが寛解か活動かを考えすぎるのは控室ましょう。
考えてもわかりっこありませんから。
それでも自分のステージを自分なりに判断して体調管理に気を使いたい
『重症ではないクローン病のデフォルトの健康状態は寛解期と活動期の間あたり』と考えてください。
『寛解はなかなかできないけど、活動期の中では手術コースにならずになんとか横ばいを維持できてる』。くらいが標準的な体調になります。
下痢もしますし、腹痛もあります、それくらいは活動期であってもありますから、それらがまず長期的であったり回数が多すぎたりしていない、発熱もない。
でしたら、心配しすぎる必要はないかと思います。
勿論、正しい判断は医師がするものなので、必ず先生に報告・相談はしてください。
寛解の維持
では、『この病態の落ち着いた寛解期を維持するにはどうしたらいいか?』ここがクローン病人生において永遠の課題になります。
良い状態を維持するために必要なことは『内科的治療』と『生活スタイルの改革』です。
内科的治療については別項でお話しますが、生活スタイルの改革のほうはといいますと、やはり食事が中心になります。
厳しい言い方かもしれませんが、健常者と同じ生活スタイルを諦める、ということを受け入れる必要があります。
何故なら、可能な限り増悪因子(悪化させてしまう要因)を取り除いていくことが寛解導入と寛解維持において必須となるからです。
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