熱帯夜対策!体温調節の仕組みと就寝時の熱中症の危険性

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『熱帯夜対策!体温調節の仕組みと就寝時の熱中症の危険性』

夜も暑いですね~熱帯夜!!こんな夜には要注意のお話です。

万物の霊長たるヒトの体温調節機能は、恒温動物の中でも特に優れていて、条件によっては外気温が100℃でも1時間ほどなら生きていられるレベルだそうです。スゴい。

しかし、この卓越した機能が働かなくなる、つまり『負ける場合』もあります。その1つが以前お話した『熱中症』ですね。

熱中症については前回あらかたお話しましたので、今回はさらに延長戦、『体温調節の仕組み』と、そこから見えてくる『熱帯夜での就寝時に起こる熱中症の仕組み』についてお話したいと思います。

 

体温が一定に保たれる仕組み(ざっくり)

ヒトの体温は、脳に組み込まれたサーモスタットのような機能によって、ほぼ36~37℃になるように自動調節されています。

深部温度は37℃前後に保たれています。

つまり、脳からの様々な指令で、保たれているのですね。

そして自動調節機能は、体内の『熱の発生』と、発生した熱の『外部への放散』のバランスを一定に保とうと働いているため、平熱が維持できています。

 

どういう指令でどうやってコントロールしてるの?

体温調節を行っているのは、間脳にある『視床下部』です。

視床下部には『体温調節中枢』があり、視床下部を流れる『血液の温度変化に反応』して体温をコントロールしています。

また、皮膚にある『温度受容器(温点・冷点)』で感知された情報も、感覚神経によって体温調節中枢に伝えられます。

内と外の2つの温度を感知して調節してるわけですね。

体温調節中枢は、これらから届けられた情報を検証し、あらかじめ定められている『中枢の基準値(セットポイント)』と比較したうえで、体温を下げる、あるいは上げるための指令を出します。

たとえるなら『エアコン』。室温設定と風量の『自動設定』ですね。設定した通りに外気温の変化に応じて運転の強弱を変え、自動的に常に室温が一定に保たれるように調節されますよね。ようはこれと同じようなことを身体もやっているわけです。

体温調節の方法は、体内で『産生する熱量(産熱量)』と『体外に放出する熱量(放熱量)』の『増減』です。

これらの調節には、知覚神経、自律神経、アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど、神経系と内分泌系が相互に影響し合いながら係わっています。

が、そのへんは難しいので分泌物に関しては今回は置いておきます。

では、具体的に身体はどんな働きをして体温調節をしているのか。まずはシチュエーション『寒い時』の仕組みでイメージを作っていきましょう。

 

寒いときは体温をあげて平熱を維持する

皮膚にある温度センサー(温度差受容器)で寒さを感じると、脳にその情報が伝わり、視床下部にある体温調節中枢がセットポイントと比較し、適正な体温になるよう熱を作るシステムが働き、体温が低下しないように働きます。熱を作るシステムは、寒さの程度に応じて2つの指令ルートがあります。

①『褐色脂肪細胞』で熱を作り、体温を下げないようにする

②それでも足りない時は骨格筋をブルブルと震わせて、さらに熱を作り、体温を下げないようにする(感染によって発熱した時にも起こる→『発熱性悪寒』)

※褐色脂肪細胞とは:熱を産生する能力を持つ特殊な脂肪細胞です。褐色脂肪細胞は『熱を作る』という単純な機能を通じて、生体の中の多様な調節や防御機構に貢献しています。

このように指令ルートを分けて二段階で調節しています。それぞれ順を追って説明しますと、

①まず、少し寒い時は、脳からの指令で褐色脂肪細胞が熱を生み出します。この場合は、自律神』の一種である『交感神経』を通って、「熱を作れ」という指令が下されます。

②それだけでは体温が保てないほど低温になって、とても寒くなると、脳の中の別のルートをたどり運動神経』を介して「震えろ」という指令が骨格筋に届きます。その指令に基づき、骨格筋はブルブル震えて熱を生み出すという仕組みです。

これらは自分で意識的に起こる現象ではなく、無意識に起こる体温調節反応で『自律性体温調節』と呼ばれています。

あまり難しく考えずに、『体温を下げないように熱を作る細胞が働いていても無理がある場合、身体を物理的に震わせて熱を作ってる』と捉えてよいかと。

 

寒い時には体温上昇させてるのに、なんで手足は冷たいままなの?

これは、熱を外へ逃がさないための体温調節の仕組みですね。

皮膚表面近くの血管を収縮させて血流を低下させます。そうすることで体の内部に血流を集め、体の外に熱が逃げるのを抑えているのです。

身体の中心の重要な臓器が冷えないよう、内側に熱を閉じ込めて逃がさないための仕組みですね。この身体の中心の温度が前回からお話してる『深部温度』ですね。

寒い時に手足が冷たいのは、深部温度の低下を防いだり、感染した時に体温を効率よく上げたりする(末端の血管を収縮させ熱が外に逃げるのを防ぐ)ためのシステムです。

 

余談・鳥肌ってどういう現象?

犬や猫のように体毛が豊富にある動物では、寒さを感じた時に脳からの指令で立毛筋を収縮させて毛を立てると、ちょうど厚手のコートを着るのと同じように断熱の効果が高まり、体温が逃げにくくなるそうです。

進化の名残で、人間でも同じように体毛が立つ反応が残っており、これが鳥肌です。ただ残念ながら、体毛が少ないため、人間の鳥肌には、犬や猫のような断熱の効果はほとんどないそうです。

さて、前置きが長くなりましたが、体温調節中枢の働きによって体温が一定に保たれること。そしてどのようにしてそれを実行しているのか、寒い場合でだいたいイメージできたかと思います。

続きが本命、シチュエーション『暑いとき』はどうやって体温調節してるか。

 

暑いときは体温を下げて平熱を維持する

寒いときと同様に、皮膚にある温度センサー(温度差受容器)が暑さを感じると、脳にその情報が伝わり、視床下部にある体温調節中枢がセットポイントと比較し、適正な体温になるよう熱を下げるシステムが働き、体温が上昇しないように働きます。体温を下げるシステムは、2つのルートあります。

①『皮膚血流調節

体温が上昇すると、体内の過剰な熱を血流によって皮膚に集め、環境へ放熱することで体を冷やすのが『皮膚血流調節』です。

②『発汗調節

汗を蒸発させることで熱を逃がすのが『発汗調節』です。

これらの機能は連動して働き、効率よく体温調節を行っています。そうして深部温度の上昇を抑え、脳の温度の上昇から守っているのですね。

ではそれぞれみていきましょう。先に②の発汗調節について詳しく説明します。

 

暑い時に汗をかくのはなんで?

ヒトは汗をかくことで、体の表面がぬれます。この水分が蒸発する時に『気化熱』として体の熱を奪っていくことで、体表面の温度を低下させています。ようするに打ち水ですね。

そして問題の①です。

皮膚血流調節の仕組み

これは体内は過剰な熱を皮膚に集めて放熱するシステムですが、外気温が高すぎる状況が続くと、皮膚血流調節で体内の熱を外気に逃がすことができなくなるため、体が冷えなくなります。→そうして深部温度が上昇してしまいます。

これは体温と外気温の温度差の少なさに起因します。

単純なイメージとして、暖かい温蔵庫に出来立て料理を入れたとして、料理が冷めるのは遅い、あるいは横ばいですよね?

しかし、冷蔵庫に出来立て料理を入れたら冷めるのは速いですよね?

温度の流れの仕組みで、部屋などの閉鎖空間では、暖められた空気は膨張しますので温度の低い方向へ流れます。その結果、温度が下がります。

冷蔵庫が中に入れた物を冷やす原理は、空間を冷やし続けることで中身の熱を奪い、冷やすことで長期保存を可能にさてるわけです。

つまり、熱は温かいところから冷たいところへ移動する、これだけ覚えておけばOK。

このような原理から外と内とで温度差が少なければ、皮膚は熱を放出し体温を下げることがなかなかできないことがわかると思います。

 

異常な暑さの熱帯夜の危険性

近年の温暖化の影響で夏場は夜でも気温が全然下がらない日々が続いておりますね。

熱帯夜では、外気温32℃で湿度80%ほどですと体温との外環境との差が少なくなり、皮膚血流調節が上手く働かなくなり、深部温度が上昇、熱中症になってしまいます。

対し、外気温26℃で湿度50%くらいの場合ですと、適度に外環境との差があり、熱を血流によって皮膚に集め放熱することができ、体温が安定します。

つまり、近年はヒトの機能ではついていけないほど、あまりにも暑すぎる!ということです。

夜間であっても発汗調節は機能は働きます。そのためなんとか体温を維持しようと働きますが、熱帯夜となりますとやはり限界があり、湿度が高い環境』や『短時間に大量の汗をかいてしまった状態』では、汗を蒸発させることができないので体温が下がらず、体温調節できない状態になります。

皮膚血流調節も発汗調節もできない状態に陥ってしまうわけですね。

そのため、就寝時に熱中症になってしまうのです。

 

熱帯夜での熱中症対策

寝る前の水分補給と、エアコン。これに尽きます。

ヒトの機能を超える外気温と湿度を相手に、気合いでなんとかできるものではありません。

寝るときにエアコンや扇風機をつけるのが苦手な方もいるでしょう。

冷えてしまうという方もいるでしょう。

それでも、熱中症で緊急搬送されるより、ずっとずっとマシです。なにしろ命がかかってますから。

エアコンが苦手な方は、設定温度は低くしすぎず、26、27℃くらいにして(室温が必ず28℃を下回るように設定。28℃を超えると熱中症リスクが跳ね上がります)、風は直接身体に当たらないようにしましょう。

肩や膝は露出させないで、きちんと寝間着を着ましょう。男性がよくやるタンクトップにパンツ一丁だと関節が冷えてしまいます。

※体表の温度が冷たくなりすぎると、血管が収縮してしまい放熱ができなくなり、熱がこもって体温が上昇してしまいます。

また、薄いタオルケットや夏掛け布団をしっかりかけて冷えすぎないよう調節しましょう。

喉が乾燥してしまう方はマスクをするのも望ましいです。

さて、意外と長話になった熱中症のお話延長戦、体温調節の仕組みへの理解は深まったかなと思います。くれぐれも熱中症には気を付けてください。

冬場はまた低体温症などのお話をしますね。

 

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