前回に続きまして『生物学的製剤』の仕組みと働き、効果のお話を、代表例であるレミケードというお薬で掘り下げてご説明します。
こちらで前ほどの『特定の分子』という、お薬が抑え込むターゲットも併せて説明していきます。
一口に生物学的製剤といっても、特定のターゲットや注射か点滴か、なにでできてるか、などお薬によって結構違いがあります。
まずはどれくらいの種類があるのか、ご紹介しますね。
※今回のリストは『一般名:製剤名』でなく、『製剤名:一般名』でご紹介します。
なんでかというと、みなさん一般名を覚えられないそうで、わけわかんなくなっちゃうそうです。
生物学的製剤の種類
- ①レミケード:インフリキシマブ(点滴)
- ②ヒュミラ:アダリムマブ(注射剤)
- ③ステラーラ:ウステキヌマブ(注射剤・点滴)
- ④エンタイビオ ベドリズマブ(点滴)
- ⑤スキリージ リサンキズマブ(注射剤・点滴)
- ⑥シンポニー:ゴムリマブ(注射剤)
※それぞれ追って説明します。
生物学的製剤は従来の化学的に合成される医薬品に比べると、『特定の標的』に対して高精度で強力に働くことから、高い治療効果が期待できます。
どのような働き?
その仕組みはといいますと、リスト①の代表的なレミケードの場合で解説します。
レミケード:インフリキシマブ
こちらは『ヒト/マウスキメラ型ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤』です。
ターゲットは『TNF-α』
クローン病患者の粘膜では炎症細胞が支配的であること、『TNFを含む炎症性サイトカインを産生する』ことがわかっています。
インフリキシマブの標的である『TNF-α』は、過剰になるとさまざまな炎症性疾患を引き起こしますが、同時に免疫機能において重要な役割を担う『サイトカイン』でもあり、感染防御や抗腫瘍作用に関わっています。
ジレンマですね。悪さしてるサイトカインってやつは、なくてはならない免疫でもあるんです。
※サイトカインってなんぞ?はこのあとご説明します。
インフリキシマブはこの『サイトカインTNF-α』を抑制する抗体を投与することで症状を軽減させます。
生物学的製剤の種類がいくつかある理由
インフリキシマブのような『サイトカイン』のほかに、『酵素』、『ホルモン』、『抗体』、『インターフェロン』などターゲットがあり、いずれも遺伝子組み換え技術や細胞培養技術等のバイオテクノロジーにより製造された、たんぱく質を有効成分とする医薬品です。
ようは、人体が自ら生産しているたんぱく質と非常に似てる分子構造で作られているため、効果が高いんですね。
こうしてターゲットを変えることで現在使っている生物学的製剤が使えなくなっても切り替えることができるほか、どんどん新しいお薬ができてますから、効果が高かったり、副作用が少なかったりと、良い改善もあるということですね。
また、当然のこと免疫機構は単一の生体物質だけで働いているわけではないので、場面によってターゲットを変えてアプローチできると考えて良いでしょう。
そのため、それぞれターゲットと作用が違い、効果やデメリット、相性も変わってきます。
抗サイトカインTNF-αって、なんぞ??
では、先ほどのインフリキシマブ(レミケード)のお話で出てきたターゲット、サイトカインの説明になります。
「サイトカインっていうのが関わってることはわかったけど、そもそもコレなんなん?」
字面じゃまったく意味がわからない、と思います。
ですので覚えにくいかと思いますが、このサイトカインという言葉だけは是非覚えていただきたいですので、説明頑張りたいと思いますが、
えー、なにしろやはり簡単には説明できませんので、またイメージとしてのお話になります。
免疫機構の免疫たちそれぞれには役割があり、その中で『サイトカイン』という生体物質は炎症を伝達する物質であり、
「敵襲だ!!あっちで敵襲だァ!!」と騒ぎ立て伝達して回って、
「すぐに迎え撃てェェェ!!」と指示を出し、
「増員だ増員だァ!!」と仲間の数を増やし、おまけに
「よぉし我が先陣切って出向く!!」と自らも突撃します。
それだけ多くの仕事をする下士官のような存在です。
ですから過剰になると強い炎症が起きてしまうわけですね。そしてクローン病の場合ですと過度な攻撃の結果、潰瘍になる、と。
インフリキシマブはこのサイトカインの1つである『TNF-α』が『特定のターゲット』になります。
『抗TNF-αであるインフリキシマブ』はTNF-αにくっついてその働きを抑えるだけでなく、TNF-αをつくっている細胞そのものを壊する作用があり、こうした効果によってサイトカインの働きを抑制する、そういうお薬です。
インフリキシマブの導入
インフリキシマブの導入は、初回→2週→6週にと投与し、それ以後は8週サイクルでの投与となります。8週サイクルで効果が弱まるようであれば、間隔を6週サイクルまで短くすることがあります。
投与間隔の短縮や、投与を継続するかどうかは、患者さんの症状や病気の経過、副作用などを考慮して医師により慎重に判断されます。
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