『骨粗鬆症・より深く解説③治療薬の種類・骨吸収の抑制・まとめ』
今回でラストになります。これまでお話してきた内容を踏まえ、骨粗鬆症治療の中心となるお薬について整理します。
ここが1番大事なところになりますが、ちょっと難しいので、「どういう作用なのかな?」だけ理解できれば良いかと思います。
※長いのでスキップして1番下のまとめだけでもOKです。
※補助的なお薬やホルモン剤などはコチラでお話していますので参考になさってください↓
骨吸収を抑制する薬
①ビスホスホネート製剤(リセドロン酸ナトリウム:BP薬)
これは近年よく使われる第一選択薬、基本的な治療薬、といえるでしょう。『アクトネル』が代表的。
このお薬は、破骨細胞に作用します。破骨細胞の中に取り込まれ骨吸収を抑制し(破骨細胞は、通常、古い骨を破壊し吸収して身体の中で分解して老廃物として捨てる→この働きを抑制する)、骨密度を増加させる薬剤です。
つまり、骨を壊す細胞の働きを抑えて骨を作る細胞の働きを優勢にしてあげることで密度と強度を上げる、というものですね。
ビスホスホネート製剤には、『内服』、『注射』、『点滴』など様々な投与方法があります。 また作用時間の違いで与間隔が異なります。
最初は内服薬から開始することがほとんどでしょう。
内服薬には様々な剤形(剤型)があり、『毎日服用』、『1週間に1回服用』、『1ヶ月に1回服用』などがあります。
※私はアクトネルを週に一回服用していました。
・服用の注意点として、食事やカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分などと一緒に服用すると薬剤の吸収が低下するという特徴があります。
食事による影響が強いため、『起床時などの空腹時に服用しなくてはならない』という制約があります。
また、喉や胃の壁などに付着して溶解すると、潰瘍を起こしてしまうリスクもあるため、服用後は30分は横になってはいけません。そのため、基本的な服用方法は、
『朝起きた時に、コップ一杯(約180cc以上)の水でかまずに飲むこと。服用後、少なくとも30分は横にならず、身体を起こしておくこと(頭が目覚めてるという意味の起きてるではなく、物理的に椅子に座るなど身体を縦に起こしておくこと)。水以外は飲まないこと。ミネラル分が多く含まれる硬度の高い水での服用は避けること。』
となります。
※地味にこの条件しんどかったです……。
・副作用
ビスホスホネート製剤(BP薬)を長年使用してきた患者さんは、歯を抜いた時など顎骨が露出した時に、強い炎症が生じて傷が治りにくくなることがあります。最悪の場合、『顎骨壊死』を起こし、重篤な障害となります。
BP薬は、古い骨を取り除く働きをしている破骨細胞の働きを低下させることで骨密度が減少するのを防いでいます。 抜歯などをした場合、どんな方でも傷口から細菌感染をしますが、通常ですと侵入した細菌によって顎の骨に感染が生じると、この感染を起こした顎の骨の部分(悪いモノと判断)を破骨細胞が破壊・吸収して骨が壊死を起こさずに治っていくと考えられています。
しかし、BP薬を長年(とくに3年以上)服用していると、破骨細胞の働きが抑制され、感染を起こした骨が残存することになり、その結果、顎骨壊死が起こると考えられています。
※ここ、ちょっと小難しいのでより噛み砕いて説明しますと、新陳代謝は古いものを老廃物として捨てて(吸収・排泄)新しいものを作ってピカピカに入れ替える働きですが、
それだけでなく汚いもの・悪いもの(感染した細胞など)を免疫によって叩いて潰して残骸を老廃物として捨てて(吸収・排泄)新しいものを作って入れ替えている(治癒)のですね。
この働きを抑制するお薬を使うことで、汚いもの・悪いものを捨てる作業ができなくなるんです。そのため、悪いところはどんどん悪化してしまって、組織が部分的に壊死してしまう。
そういうリスクがある、ということですね。
最近では、ビスホスホネート系薬剤以外の骨吸収を抑える薬剤によって顎骨壊死が起こる症例が認められるようになったため(ビスホスホネート製剤以外の治療薬でも顎骨壊死が起きる)、名前が『顎骨壊死』から『骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)』に変わってきているそうです。また、アメリカでは『薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)』と呼ばれているそうです。
とにかく、『顎の骨が壊死しちゃうことがある』、とだけ覚えておけば良いでしょう。
②プラリア(デノスマブ:遺伝子組換え)
・このお薬は、『抗RANKL抗体製剤』と呼ばれるお薬で、『RANKL を標的としたヒト型IgG2 モノクローナル抗体』、私たちにとってはイメージしやすい生物学的製剤(バイオ製剤)で、抗RANKL抗体製剤に分類されます。
レミケードやヒュミラなどと同じように作られてるお薬ですね。
・主に骨粗鬆症、関節リウマチの治療に用いられ、効果は、BP薬と同じく骨吸収を抑えて骨密度を増加させます。
BP薬との違いは、プラリアは注射薬であること、投与は半年に1度の注射、BP薬より高い効果がある、という点です。
プラリアは、従来の第一選択薬とは異なり、10年間の継続投与により長期的な効果が認められているそうです。
・投与量は、通常、成人には60mgを6か月に1回、上腕、大腿、腹部などの皮下に注射します。
※骨の破壊が進行する場合は、3か月に1回に注射の間隔を短縮することもできます。
・副作用
プラリアの主な副作用には、低カルシウム血症、背部痛、γ-GTP上昇、高血圧、湿疹、関節痛などがあります。
重大な副作用として、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、アナフィラキシー、大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折、重篤な皮膚感染症などが報告されています。
低カルシウム血症が認められた場合は、カルシウムやビタミンDの補充や、緊急時にはカルシウムの点滴投与などの適切な処置を速やかに行う必要があります。
また、BP薬と動揺に、顎骨壊死のリスクもあるため、抜歯などの歯科治療には注意が必要です。
※私はこちらに切り替えて継続中です。注射薬ですので「痛い?」とよく聞かれますが、まぁ、注射は注射ですから、ってくらいです。副作用は今のところでていません。
※ちなみに、関節リウマチ患者さんにも適応で、その場合、抗リウマチ薬(メトトレキサート等)で治療を行っている患者で、画像検査にて進行性の骨びらんがある関節リウマチ患者や、 抗リウマチ薬の効果が不十分で、骨びらん進行がみられる患者、 抗リウマチ薬で寛解もしくは低疾患活動性が達成されても、骨びらん進行がみられる患者が対象になります。
※メトトレキサートは、関節リウマチでない骨粗鬆症の方は使うことがないので知らなくて大丈夫です。ちょっと骨粗鬆症治療薬との組み合わせ方が難しいお薬だそうです。
③抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ:イベニティ)
このお薬は2019年3月に発売された比較的新しいお薬で、『骨形成促進作用』と『骨吸収阻害作用』の2つを併せ持つことから、 『デュアル・エフェクト(2 つの作用)を有する薬剤』として注目されています。
抗スクレロスチン抗体は注射薬(皮下注射)で、医療機関で『月1回の注射を12カ月続けます』。ここで投与は終了。その後は別の骨吸収阻害薬(BP薬など)による治療を開始し、継続します。
12ヶ月を超えて使用すると骨芽細胞が増えすぎてしまったりするそうで、そのため期間が限定されています。
投与後も治療を継続するのは、治療を中断すると骨量が減少して骨折リスクが増大することが報告されているため、適切な治療を継続することが大切です。
イメージとしては強いお薬でガツンと増やして、そこからは弱い安全な薬で増強していく感じですね。
前述の血液検査などで骨吸収、骨形成、共に基準値を満たしていない、またその他マーカーも満たしていない場合などに選択されます。
・副作用
関節痛、注射部位の痛みや紅斑、鼻咽頭炎などがあります。
また、低カルシウム血症、QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識、顎骨壊死、顎骨骨髄炎、大腿骨転子下非定型骨折、近位大腿骨骨幹部非定型骨折、頭痛、咳嗽、頚部痛、筋痙縮などの副作用も報告されています。
副作用の報告も多く、慎重な判断が必要なお薬です。
やはり、他のお薬と同じように歯性感染症(むし歯、歯周病など)がある患者では、『顎骨壊死』が発生する可能性があります。抜歯しなくてもリスクがあるという点で怖いですね。
そのため、抜歯などの歯科治療が必要な場合は、イベニティを始める前に済ませたほうが良いとされています。
※私も一患者としてお薬の基本情報を見る限りでは心的に怖いですね……。しかし怖い=避ける、ではなく、医師ときちんと相談し安全性も副作用も理解した上で患者本人として納得してお薬をどうするか選択するよう心がけましょう。どんなお薬にも副作用はありますし、医療に100%はありませんから。
最後に、
④オスタバロ(アバロパラチド酢酸塩)
2022年8月31日に製造販売が承認された最新の治療薬で、とくに骨折の危険性の高い骨粗鬆症を適応としています。
新規の副甲状腺ホルモン(PTH)製剤に分類され、成人には1日1回80μgを皮下注射します。投与期間は18ヶ月間までです。
ここで気になった方もいらっしゃるかと思いますが、副甲状腺ホルモン製剤にはテリパラチド(前述)がありましたよね。
この2つの違いは、
『オスタバロ(アバロパラチド)は1型PTH受容体(PTHR1)のうちGタンパク質結合型であるRGへの結合選択性がテリパラチドと比較して高いことが明らかになっており、このためテリパラチドと比べてcAMP産生促進作用が一過性である。 アバロパラチドの間歇投与によって骨形成が優位に促進され、骨密度および骨強度増加作用を示す』。
とされています。
ちょっと難しくてわからないですよね。テリパラチドよりもずっと効果が高い、とだけ覚えておけば良いかと思います。
それと、誰でも適応というわけではない、という点ですね。とくに骨折の危険性が高い方への適応になります。
※先生からしっかり説明を受けましょう!
特例的な、悪性腫瘍による骨の問題がある重症度が極めて高い、特殊な病気の方の場合
・ゾレドロン酸『ビスホスホネート製剤(悪性腫瘍関連)』
骨吸収(骨を壊す過程)を抑える作用などにより、悪性腫瘍による高カルシウム血症やがんの骨転移による疼痛(骨転移痛)を改善したり骨折などの骨病変を予防するお薬。というものもあるようです。
このへんはとても難しいし特殊なケースですので説明できませんし、ちょっとした余談ですね。
まとめ
・骨粗鬆症は、腸管の切除などによる栄養の吸収障害や更年期障害によるホルモンの低下などによって引き起こされる、非常に骨折しやすい病気です。
・破骨細胞と骨芽細胞の新陳代謝のバランスが崩れることで引き起こされます。
・骨粗鬆症の診断には、骨密度の測定、画像、血液検査、などで診断されます。
とくに骨密度70%を下回ると骨粗鬆症となります。
・治療には主に3種類のお薬があり、いくつか併用する形になります。
①骨吸収を抑制する薬
骨の吸収をゆるやかにして骨の形成を優位にし、新しく作られた骨が吸収された古い骨の跡(隙間)に入っていくことで骨密度を上昇させます。
②骨形成を促進する薬
活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)
③骨代謝を調節する薬
カルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤
基本的に、①のお薬に②と③を併用する形になります。
②には、ホルモン剤として、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)や、更年期障害に起因する場合には女性ホルモン製剤(選択的エストロゲンモジュレーター)などがあります。
・骨吸収を抑制するお薬は、通常、古い骨を破壊し吸収して身体の中で分解して老廃物として捨てる→この破骨細胞を抑制する働きがあり、骨形成を優位にすることで骨密度を増加させます。
主にビスホスホネート製剤(BP薬:内服薬)が導入として用いられ、あまり効果が得られない場合、より効果の高いプラリア(注射)が用いられます。
これらのお薬には副作用があり、とくに顎骨壊死のリスクが高いため、抜歯などの処置では細心の注意を払う必要がある。
※要!医師と相談!
・その他に、『骨形成促進作用』と『骨吸収阻害作用』の2つを併せ持つ抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ:イベニティ)があります。
骨粗鬆症の重症度が高い場合に用いられます。
しかし、副作用等のリスクも高いので医師とのより密な相談が必要になります。
3回に渡って長々しくなりましたが、ざっくりまとめるとこんな感じです。
副作用がとにかく怖いですよね。長期的にこれらの治療薬を使用していると顎骨壊死のリスクが高まるというもので、使ったら1発アウトということではありませんが、骨粗鬆症治療はそもそも時間を要するものですから、やはりどうしてもリスクは生じてしまいますね。
その為、医師としっかりと相談して、抜歯しなければならない歯があるようでしたら先に抜歯してから骨粗鬆症治療を開始することが望ましいです。
でも、治療はじめてから虫歯が酷くて抜かなきゃいけなくなることだって、ありますよね……なので怖いです。
さて、骨粗鬆症についてはここで締めとします。私の体験談のほうはまた別途記事にしたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。
前回までのお話はコチラ↓
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