クローン病によくみられる腸管外合併症、今回は頻度の高い胆のう炎と、それに伴う膵炎について解説していきます。
胆石などの肝胆膵病変
『胆石』の合併頻度はクローン病では約4.6%,潰瘍性大腸炎では約5%といわれており、IBDに多い合併症の1つです。
胆のう炎
胆石や腫瘍などで胆汁の流れが停滞するとその上流の胆管・胆のうで細菌感染が起こります。感染の場所が胆のうであれば『胆のう炎』、胆管であれば『胆管炎』と呼びますが、両者を合併していることも少なくありません。
急性胆のう炎ではお腹の右上あたりの不快感と鈍痛、吐き気、嘔吐、発熱があり、炎症が進むにつれて激しい痛みを感じるようになります。
慢性胆のう炎ではお腹の右上辺りに繰り返し起こる痛みがあります。
※私は急性胆のう炎を二度ほど経験しました。痛みと嘔吐がすごかったです。絶食中の吐瀉物は、ほとんど緑色の胆汁だけでビックリしました。ホラーかと思うほど緑。
原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)(指定難病)
炎症で胆管が細くなってしまい、胆汁が流れにくくなります。進行すると最悪、胆汁性の肝硬変、肝不全にいたることもあります。
胆石、胆のう炎、胆管炎も、似通った症状なのでどの病名であるか自分では特定できません。
適切な診断はエコーなどで実際に胆のう周辺を診る必要があります。
膵炎
IBDは、無症状であるにも関わらず膵酵素の数値が高い無症候性の膵酵素上昇の人が、11~14%くらいいると言われています。
その中で『膵炎』を発症していることも少なくありません。
クローン病では「胆石」の合併症が、健常者に比べて2倍程度高いことがわかっており、その胆石に伴う二次性の膵炎もあれば、クローン病の病勢に伴って生じる膵炎もあります。
クローン病は十二指腸に炎症を起こすことがあり、十二指腸は膵臓の出口とつながっているため二次性に膵炎を起こすことがあります。
他にも、5-ASA製剤(メサラジン)や免疫調節薬(アザチオプリン、6-メルカプトプリン)、肛門病変などに使用される抗菌薬(メトロニダゾール)の薬の副作用による膵炎があります。
そして、IBDは自己免疫疾患であり、自分の免疫が間違って自身の膵臓を攻撃してしまう『自己免疫膵炎』を合併することもあります。
そのため、膵炎と言っても、原因はあまりに様々で、それにより治療法も異なります。まずは膵炎の原因を正しく突き止める必要があります。
膵臓の状態は血液検査で知ることができますが、その検査項目を通常の採血検査に入れている医師は実は多くありません。
医師がIBDの合併症で膵炎が起こることを知っていれば、採血項目で膵機能も見ることようになり、見逃されることはありません。
膵臓の酵素が高くなった場合は、膵臓の専門医に相談することもあります。
症状が顕れたらすぐに主治医に報告し、正確な血液検査が必要ですね。
※私は膵炎は経験してませんが、にも関わらず主治医は毎回膵臓の酵素の値診てますので、慎重派の先生というのがわかりますね。
胆のう炎の治療
①急性胆管炎
多くの胆管炎の場合、絶食、点滴、抗生剤投与と同時に感染した胆汁を排泄するための治療(胆管ドレナージ術)が必要です。
②急性胆のう炎
絶食、点滴、抗生剤投与に加えて状況によっては外科的に胆のうを直接手術で取ることもあります。
③原発性硬化性胆管炎
ドレナージによる排泄とウルソデオキシコール酸の内服によってALP・γ-GTPの値は下げます。
ですが肝硬変、肝不全になる可能性が高い重症な場合は手術で摘出しかありません。
また、胆のう内には胆石が存在することも多く、内科治療で一時的に改善しても再発する危険性があるため、最終的には外科的手術が必要となります。
外科的手術のタイミングは、発症時に行う場合と、炎症が落ち着いた後に行う場合があります。
胆のう摘出術は基本的に腹腔鏡を用いて行います。よほどでないと開腹はしません。
ドレナージ術
胆汁の排泄方法(ドレナージ術)としては、
『ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)』
これは、専用の十二指腸内視鏡を用いて細いチューブを十二指腸乳頭に挿入し、造影剤を注入して胆道系、および膵臓の詳細を調べる検査です。加えて細胞を採取する検査をしたり、胆石の除去治療、胆汁の流れを改善する治療(ドレナージ術、ステント留置術)を行うことも可能です。
『PTAD(経皮経肝胆管ドレナージ術)』は、
黄疸を緩和する目的で、皮膚を切開し、そこから直接肝臓内の胆管(胆汁が流れている管)にチューブを挿入し留置し、体外に胆汁を流す方法。
また、手術で『開腹してチューブを挿入する方法』があります。
重症の胆管炎では、早期に適切に胆汁をドレナージしないと死に至ることがあります。
胆管炎はその治療だけでなく、胆管炎の原因となった病気(結石、癌など)について詳しく検査し治療を行う必要があります。
※私はPTADをやりましたが、くっっっそ痛かったです。初めてドレーンを挿入したとき、技師側は激痛で身体が跳ねることがわかっていたからか、4人がかりで手足を抑えられ、「え?こんなに拘束するってことは・・・」と直感したと思ったら「ボツンっ!」って体内から音が響くと共に地獄の激痛でした。
いつか体験談のほうで語りますね。
膵炎の治療に関しましては原因が様々すぎてちょっと説明できません。
ただ、クローン病の場合は胆石による膵炎がほとんどですので、胆のうドレーンか切除、薬の副作用でしたら中断、自己免疫膵炎でしたら生物学的製剤になります。
重症な膵のう胞や膵臓癌でしたら切除しかありません。
原因が複雑なわりに、やることはシンプルですね。
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