今回はクローン病ではお馴染みの生物学的製剤ですが、潰瘍性大腸炎のみ適応で新しく追加された商品にたいてお話していきたいと思います。
『生物学的製剤』とは
現代、主流となっている治療効果の高いお薬です。
生物学的製剤とは、遺伝子組換え技術や細胞培養技術といったいわゆるバイオテクノロジーを用いて人工的に精製されたお薬で、『特定の分子(ターゲットのこと)』を標的とした治療に使われます。
生物学的製剤は高分子のたんぱく質でできており、内服すると消化されてしまうため、点滴あるいは皮下注射で投与します。
バイオあるいはバイオ製剤とも呼ばれます。
生物学的製剤は、免疫機能において重要な役割を担う物質ターゲットを抑え込むことで症状を改善させます。
『サイトカイン』をはじめ、『抗体』の、『酵素』、『ホルモン』、『インターフェロン』など様々な免疫の物質をターゲットとし、いずれも遺伝子組み換え技術や細胞培養技術等のバイオテクノロジーにより製造された、たんぱく質を有効成分とする医薬品です。
ターゲットに対し高精度で強力に働くことから、高い治療効果を発揮します。
生物学的製剤の種類
『レミケード』:インフリキシマブ(点滴)
『ヒュミラ』:アダリムマブ(注射剤)
『ステラーラ』:ウステキヌマブ(注射剤、点滴)
『エンタイビオ』:ベドリズマブ(注射剤、点滴)
『スキリージ』:リサンキズマブ(注射剤・点滴)→潰瘍性大腸炎での適応申請中
『シンポニー』:ゴリムマブ(注射剤)→潰瘍性大腸炎のみ
『オンボー』:ミリキズマブ(注射剤、点滴)→潰瘍性大腸炎のみ
※レミケード、ヒュミラ、ステラーラ、エンタイビオ、スキリージはクローン病の治療で説明しましたので割愛します。
詳しくはコチラを参照ください↓
『シンポニー』と『オンボー』は潰瘍性大腸炎でのみ使用できますので、こちらの説明をします。
『シンポニー』:ゴムリマブ(皮下注50mgシリンジ)
完全ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤。
関節リウマチから潰瘍性大腸炎患者において適応となりました。→クローン病は適応外です。
こちらはレミケードやヒュミラと同様に、TNF-αと結合することにより、TNF-αによる生体内情報伝達を阻害します。
・用法
通常、成人にはゴリムマブ(遺伝子組換え)として初回投与時に200mg、初回投与2週後に100mgを皮下注射します。
初回投与6週目以降は100mgを4週に1回、皮下注射します。
本剤の投与開始後、14週目の投与までに治療に対する反応がみられない場合には、本剤の投与を継続するべきかどうかも含め、治療法について再考します。
※ヒュミラと同じく皮下注射ですが、こちらは基本的に医師が注射を行います。
『オンボー』:ミリキズマブ(点滴→皮下注射)
最新の生物学的製剤です!→クローン病は適応外です。
ステラーラやスキリージと同じく、インターロイキン(IL)の働きを抑える生物学的製剤です。中等症~重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入、寛解維持目的で使用します。
ミリキズマブのターゲットはサイトカインの1つである『インターロイキンIL-12とIL-23』で、この物質の働きを抑えることで、免疫を抑制します。
・併用禁忌!
JAK阻害剤との併用不可!!
他の生物学的製剤はヤヌスキナーゼ(JAK阻害剤)と併用ができますが、ミリキズマブは併用不可です!
・用法
通常、成人には1回300mgを4週間隔で3回(初回、4週、8週)、点滴で静脈内に投与します。
治療効果があらわれた場合はそれを維持する目的で、点滴による治療が終了した4週後から、1回200mgを4週間隔で皮下注射します。
3回の点滴投与で効果が不十分であれば、さらに3回点滴投与による治療を追加することもあります。点滴での投与の追加や、このお薬による治療を継続するか否かは、患者の症状や病気の経過、副作用などを考慮して医師により慎重に判断されます。
他の生物学的製剤と同様に、免疫機能を抑制するため、感染症には十分な注意が必要なことと、身体がお薬に対し強く反応して全身状態が悪化する、重い副作用(インフュージョン・リアクション)が起きることがあるため、十分な対処ができる設備の整った医療施設での使用が推奨されています。
クローン病と少し使い方が違う『レミケード』
クローン病ではレミケードは体重1kgあたり5mlを8週サイクルで投与し、効果が薄くなりますと最大1kgあたり10mlまで増量可。
これで効果が薄くなった場合、通常の1kgあたり5mlで6週サイクル、さらに持続しなくなったら最短4週サイクルまで短縮することが可能です。
しかし、潰瘍性大腸炎では8週サイクルから短縮することはできません。
ここだけクローン病と異なりますね。
次回は生物学的製剤と似通った効果のある新しいタイプのお薬『JAK阻害剤』についてお話していきたいと思います。
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