さて、クローン病疑いが濃厚となりましたら、詳細な検査をすることになります。
今回は必要となる様々な検査についてひとまとめにご説明します。
別途後述しますが、クローン病の治療には大変お金がかかります。高額な医療が必要となるためです。
3割負担では到底支払えない金額となりますが、あくまでも同じ治療を3割負担で受けたならという話で、クローン病と確定診断されたら医療費控除がありますので物凄く安く済みますので安心してください。
病気の特定が必須となるのは治療を行うためという大前提は勿論のこと、こうした特別な控除も受けられるようにするため、各種検査をし、『確定診断』を得る必要があるのですね。
では、まずはどんな検査をするかお話します。
確定診断に必要な主な検査項目
①血液検査
白血球の数(体内で闘いがあると上昇する)やヘモグロビン(潰瘍等で出血があると極端に下がる)、CRP(炎症があると上昇する)をメインに、その他の病の可能性も考慮し幅広く多くの項目数しっかり検査します。
なので採血でとる血液の量は多いです。スピッツ(試験管)5とか8本とか取ります。
「え!?こんなにとるの!?」ってビックリするかもですし、「こんなにとって貧血にならないの?」と心配になるかもしれませんが、【血が足りない】という原因で貧血になるような量では決してありませんので心配しないでくださいね。
※血を見るのが苦手な方の貧血は、血が足りないせいではありません。【迷走神経反射による貧血】という症状です。
気分が悪くなったら我慢せずに看護士に伝えてくださいね。処置室で休ませてくれます。
●インテグリンαvβ6抗体の血液検査
これは、血液中にある自己抗体を見る検査です。
近年注目されているのは、腸の炎症そのものの強さを直接みる検査というより、「どのタイプのIBDか」を見分ける補助としての役割です。
特に近年の研究では、潰瘍性大腸炎で陽性になりやすく、クローン病では陽性率が低いことが報告されており、クローン病を積極的に診断するための主役というより、潰瘍性大腸炎寄りかどうかを考える材料に近いです。
ありていに、潰瘍性大腸炎かクローン病かの判断材料の1つになるです。クローン病の検査で名前が出ても、これだけでクローン病かどうかは決められません。
イメージでいうと
「腸で炎症が起きているか」を直接見るというより、
「炎症性腸疾患の中で、どちらの顔つきに近いか」をみる補助マーカーです。
②検便
潜血の確認ですね。肛門や直腸に出血がありますと目に見えてわかる血便になるので自覚症状もあるかと思いますが、小腸から大腸の真ん中(横行結腸あたりまで)で出血がありますと消化酵素の影響を受けて便の色にあまり変化がみられません。
検便では見た目ではわからない潜血の確認をします。
●便中カルプロテクチン
こちらは便の中に出てくる炎症のサインを見る検査です。
カルプロテクチンは、主に好中球という白血球由来のたんぱくで、腸の中で炎症が起きると便中で高くなりやすいため、クローン病や潰瘍性大腸炎で広く使われています。
しかもこれは現在、IBD診療で実際によく使われる代表的な非侵襲的バイオマーカーで、IBS(過敏性腸症候群)のような機能性疾患と、炎症性疾患を見分ける助けや、病勢の経過観察に使われます。
そのため、確定診断のための最初の検査としてだけではなく、以後の計画的を判断する材料の1つとして積極的に取り入れられています。(寛解期の再燃の予兆を掴むための1つの判断材料)
イメージでいうと、
「いま腸の中でどれくらい炎症っぽいことが起きているか」をみる検査です。
血液検査よりも腸の炎症に近い情報をくれることが多いですが、これ単独でクローン病確定にはなりません。内視鏡や画像検査と組み合わせて判断します。
③検尿
腎機能の確認。たんぱく質や血が混じっていないか確認します。
④胃カメラ
前段階で胃に問題が確認されなかった場合はスキップすることもあります。
胃に潰瘍がないか、粘膜の状態はどうかなどを確認します。
⑤大腸内視鏡検査
大腸内をカメラで見て状態の確認をします。クローン病にみられる特徴である『縦走潰瘍』や『敷石状病変』、『狭窄』などを細かくみます。
これらの特徴がみられた場合、『確定診断』が濃厚となります。
細胞も採取し生検に出します。
この生検で『肉芽腫』というものが確認されると、『確定診断』となります。
※肉芽腫が確認されない場合もままありますが、その他の特徴的な病変と症状によって確定的であれば確定診断となります。
※大腸内視鏡検査については、別途詳しく記事にしてありますので、よろしかったら参考にしてください。
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⑥経管小腸造影検査
鼻から十二指腸あたりまで管を入れて、その管から造影剤を出して小腸なまんべんなく行き渡らせてX線撮影をします。
管の太さはうどんより太いくらいでしょうか。意外と細めです。
これは大腸内視鏡検査ではよく見えない潰瘍の有無と程度の確認になります。
瘻孔がありますと、そこに造影剤が入り込み、細ーい線が小腸から飛び出しているのがX線で見えます。このようにして肉眼では確認できないような病変を確認します。
造影剤には『バリウム』と『ガストロ』があり、バリウムは白くて経口でも使用可能です。また映りがとても良いです。反面、粘度が高いので細いところには浸透しにくい欠点があります。
対しガストロは透明でべたべたした液体で、経管になります。バリウムよりは映りは落ちるものの、しゃばしゃばの液体ですので細いところまで浸透します。
どちらを使うかは問診次第で医師が判断します。
検査後、管から造影剤はある程度抜きますが、残りは下からウンチで出すことになります。
こちらの検査も、確定診断後も定期的に検査して評価することになります。後述しますが、造影CTや造影MREより手軽にできるので寛解期の定期検査として多いかと思います。
⑦注腸造影検査
これは大腸の造影検査です。お尻から管を入れて直腸のところでバルーンを膨らませて栓をして漏れ出さないようにしながら造影剤を流し込み、大腸に行き渡らせて大腸のX線撮影をします。
小腸造影検査と同様です。
⑧造影CT
これは、造影剤を使ってお腹の中をCTで撮る検査です。
クローン病では、腸の壁が厚くなっていないか、炎症が強くないか、狭窄・膿瘍・穿孔などの合併症がないかをみるのに使われます。
特に急に悪化したときや、強い腹痛・発熱などで緊急性があるときに役立ちやすい検査です。CTは短時間で撮れて、全体を素早く確認しやすいのが強みです。
しかし、実際に腸管をカメラで見る大腸内視鏡検査と異なり、内側の見た目の判断ができかねますので、こちらも判断材料の1つにすぎず、そのほかの検査と併せて判断されます。
イメージでいうと、
「いまお腹の中で何が起きているかを、すばやく広く見る検査」
です。とくに、急性増悪や合併症チェックに強いです。
⑨造影MRE
MREは【MR enterography(MRエンテログラフィー)】のことで、
MRIで小腸を詳しくみるための検査です。
多くの場合、飲む造影用の液体で腸をふくらませ、必要に応じて点滴の造影剤も使って撮影します。
その特性から大腸内視鏡検査とセットで行われることが多く、腸管戦場財政でお腹を満たした状態で検査します。
クローン病では、小腸の炎症の場所や広がり、腸壁のむくみ、瘻孔、膿瘍などをみるのに有用で、内視鏡では見えにくい小腸の評価にも向いています。
MREの大きな特徴は、被ばくがないことです。
そのため、クローン病のように何度も検査が必要になりやすい病気の経過観察では、CTよりMREが重視される場面があります。
実際、ACRの基準でも、**既知のクローン病の増悪評価や経過観察でMREは「Usually Appropriate」(大多数の症例で妥当である)**とされています。
しかし、こちらも造影CTと同様に実際に腸管をカメラで見る大腸内視鏡検査と異なり、内視鏡で見えにくいところは確認しやすいですが、内側の見た目の判断ができかねますので、こちらも判断材料の1つにすぎず、そのほかの検査と併せて判断されます。
イメージでいうと
「小腸を中心に、クローン病らしい変化をじっくり詳しく見る検査」
です。急ぐ場面より、診断補助や経過観察でじっくり評価するのに向くことが多いです。
⚠️整理しておきたいポイント⚠️
しばしば、「CTとMRIどっちが優れてるの?」と聞かれますが、
【クローン病ではMREとCTE(造影CT)はどちらも有用で、場面によって向き不向きがある】という回答になります。
研究やガイドラインでは、小腸クローン病の検出能はMREとCTEで大きくは劣らないとされる一方、MREは被ばくがなく、腸壁や活動性の評価を繰り返し行いやすいため、経過観察で重視されやすいという部分はあります。
- CTは速くて、急ぐ場面や全体の把握に強い
- MREは時間も準備もかかるが、小腸や腸壁の状態をじっくり評価しやすい
- ただし「CTは精度が低い」というほど単純ではない
- 寛解中の定期評価でも、施設事情・症状・目的によってはCTが使われることはある
- それでも、若い患者さんで繰り返し画像検査が必要なクローン病では、被ばくのないMREが好まれやすい。
と整理しますと、
「どちらが上か」ではなく、【CTは速さと実用性、MREは被ばくなしでの詳細評価に強みがある】というところでしょうか。
クローン病では長期的にはMREが重視されやすいですが、実際は症状や目的次第で使い分けられています。
またその使い分けの判断も当然のこと医師の判断になります。
ざっくり比較
●造影CT
→ 速い
→ 急性腹症や合併症チェックに強い
→ お腹全体をすばやく見やすい
→ 被ばくがある。
●造影MRE
→ 小腸や腸壁の評価に強い
→ 経過観察や病変の詳しい評価に向く
→ 被ばくがない
→ そのぶん、CTより手間や時間がかかりやすい。
ひとことで言うと、
造影CT:
「急いで全体を見る検査」
造影MRE:
「小腸を中心に、クローン病の状態を詳しくみる検査」
になりますかね。
※正直、患者サイドとしてはこれ以上うまく説明はできません。きくらげは長く寛解していますが、造影CTで確認することのほうが圧倒的に多いです。しかし、もし不調が続いたり再燃の予兆が感じられた場合にはMREになることでしょう。
※私の主治医の言葉ですが、「結局、直で見るのが1番手堅い」そうです。どの検査もその検査でしかわからないことがあるので必要なのですが、やはり直にカメラで見る大腸内視鏡検査での評価の比重は高いということと思われます。
いずれにしてもここは医師の判断を信じましょう。
⑩超音波検査
『膿瘍』の有無の確認と、その他臓器に問題がないか確認をします。膿瘍がありますとしっかり映ります。
⑪その他ケースバイケース
眼の検査(クローン病は緑内障になりやすいといわれています)、
骨密度(クローン病は栄養障害がしばしばありますので測定しておくこともあります)、
手術を考慮して心電図や肺活量なども検査する場合もあります。
このようにあらゆる検査を徹底しますので、かなり忙しく検査疲れにもなります。
ただでさえ最悪のコンディションの中でですから、相当に大変です。
ですが初手の検査は最重要になりますので頑張りましょう。
次回は『クローン病の確定診断に至るまで③一番大事な問診』に続きます。
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※この記事は2026年3月22日に一部更新しました。
