『IBDと鎮痛剤①鎮痛剤の種類』
私たちIBDはたとえ寛解であってもお腹が弱いです。ちょっとしたことで腹痛や下痢になりやすく、活動期であれば慢性的に重い鈍痛や鋭い痛みがありますよね。
痛いと仕事も日常生活も苦しく、痛みのせいで睡眠もまともにとれないこともありますから、私たちにとって鎮痛剤は欠かせないお薬かもしれません。
しかし、鎮痛剤はお腹へのダメージもありますので、できる限りは控えたいところです。ダメージを与えてしまえば病態も悪化してしまうので、避けたいですよね。
今回はそんな鎮痛剤の種類や薬効成分、危険性を考慮した上での自分に合った使い方についてを、少し長くなりますので二回に分けてお話していきたいと思います。
※薬剤師ではないので間違いもあるかもしれません。
※医師でも薬剤師でもないので参考画像は貼りますが販売リンクは貼りません。
記事を読まれて方は実行する前に1度お薬の注意書をご自身で確認し、必ず医師や薬剤師に相談して正しく使用してください。
※ここでは麻薬系の鎮痛剤のお話はしません。そちらのほうは『内科治療』のほうでいずれお話したいと思います。
代表的な鎮痛剤の成分
まずは、よく見聞きすると思うので、この3つの成分だけ覚えておきましょう。
・『イブプロフェン』
炎症を抑える作用と痛みのもととなる抹消神経に作用して痛みを緩和します。
・『アセトアミノフェン』
痛みを伝播する脳の中枢神経に作用して痛みを緩和します。
市販薬のほとんどがイブプロフェンとアセトアミノフェンの2つの有効成分を組み合わせ、+αをメーカーごとに調整して子供や頭痛や生理痛や腹痛など幅広く適応できる商品を開発しています。
・『ロキソプロフェン』
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)です。炎症を抑えることで痛みを緩和します。(詳細は後述)
処方箋が必要な代表的な鎮痛剤(製剤名)2種
・『カロナール(アセトアミノフェン)』
カロナールは「医療用医薬品」に指定されているため、処方箋なしでドラッグストアなどで購入することはできません。 カロナールを購入するには、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらう必要があります。
※『バファリンルナ』、『小児用バファリン』、『ラックル』、『タイレノールA』などはカロナールと同じ成分の市販鎮痛剤でドラッグストアで購入できます。
・『ロキソニン(NSAIDs:ロキソプロフェンナトリウム)』
高い鎮痛作用があり、幅広く利用されています。手術後や抜歯、裂傷、火傷など強い痛みや発熱が長期間続く場合に処方されます。
痛みに対して最大1日3回、発熱に対し最大1日2回の服用が可能です。
※市販薬に『ロキソニンS』がありますが、こちらはドラッグストアで購入ができますが、用法用途が処方薬とは異なります。
服用可能な回数はあくまで頓服であり、短期服用を目的用法としています。
一過性の頭痛や生理痛、捻挫や発熱など、緊急時に服用するだけに留め、痛みや発熱が続くようなら医師の診断を受けてください。あくまでも緊急用、医師の指示なしに長期間服用することは大変危険です。
各種鎮痛剤それぞれ特徴や作用、商材と一緒に解説
先に3種の成分のお話をしましたが、鎮痛剤には多くの種類がありますが、よく使用されるものは主に2つです。
①非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)・・・一般的な鎮痛剤(イヴプロフェン、ロキソプロフェンなど)
②非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)以外・・・アセトアミノフェン
と分けられます。
①『 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)』から説明していきます。
【NSAIDs(エヌセイズ)】とは、非ステロイド系抗炎症薬と訳され、抗炎症や解熱鎮痛作用を有する薬物の総称です。一般的に広く使用されており、ドラッグストアなどで購入できる風邪薬や解熱鎮痛剤などにも含まれています。
NSAIDsは、炎症が起こっている患部で活動するプロスタグランジンなどの発痛増強物質の生成を防ぐことによって、『炎症を抑えることで、抗炎症・解熱鎮痛作用を発揮』します。
しかし、NSAIDSは、胃粘膜の保護をする機能を低下させてしまいます。 プロスタグランディンという、胃粘液の産生、分泌を促進する物質を減少させてしまうため、その結果、胃酸の攻撃で胃壁は荒れてしまい、吐き気や胃痛、IBDではさらに下血することもあります。また重度ですと胃や小腸・大腸にも潰瘍ができるなど消化性潰瘍ができてしまうこともあります。
①代表的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)
●成分『ロキソプロフェン』
処方薬としては『ロキソニン』、市販品として『ロキソニンS』や『バファリンEX』があります。
鎮痛・抗炎症・解熱作用をバランス良く持っており、幅広い痛みや発熱に素早く、そして非常に高い効果を発揮します。また、胃腸障害などの副作用がNSAIDsの中では比較的少ない薬です。(それでも大きな影響です)
●成分『イブプロフェン』
市販品としては『イヴA』や『フェリア』など。
イブプロフェンは炎症を抑える作用と抹消神経に作用する2つの働きで痛みを緩和します。効果が早くでることも特徴ですね。2つの働きがあるため、頭痛や生理痛、神経痛、捻挫など幅広く効果があり、様々な鎮痛剤に配合されています。解熱作用もありますが、他の薬と比べると効果は弱めです。
●成分『エテンザミド』
市販品として『ノーシン錠』、『ナロンエース』などがあります。
効き目が優しく、胃腸障害などの副作用が少ないのが特徴です。単独で使用されることは少なく、多くの場合、他の解熱鎮痛成分とともに用いられます。
●成分『アスピリン』
市販品としては『バイエル』などがあります。『バファリン』にも配合されていますね。(バファリンはアスピリンがメインではありません)
低容量で鎮痛作用と抗血小板作用を発揮します。
抗血小板作用というのは「血をサラサラにする」作用で、心筋梗塞や脳梗塞の予防に使用されることが多い薬です。
副作用は胃腸障害、腎障害の頻度が高く、小児や妊婦には使用しにくい薬です。
●成分『ジクロフェナク』
処方薬として内服薬や座薬以外に、市販品として『フェイタス』や『ボルタレン』シリーズの湿布薬や塗り薬がありますね。
非ステロイド系抗炎症薬の中でも即効性があり、高い鎮痛効果が認められています。しかし、内服薬としては胃の不快感や消化管出血の頻度が比較的高い薬で、市販品はありません。
●成分『インドメタシン』
内服薬以外に湿布薬や塗り薬などに多く使われていますね。
非ステロイド系抗炎症薬の中で最も強い成分です。効果が高い分、他の成分にくらべると胃腸障害などの副作用の頻度が多いというデメリットがあります。抗炎症作用が強いので、筋肉痛などの炎症を伴う症状にはとくに有効です。内服薬の市販品はありません。
②代表的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)以外・・・アセトアミノフェン等
●成分『アセトアミノフェン』
『カロナール』などが代表的なお薬になります。市販品としては『バファリンルナ』や『バファリンDX』、『ラックル』、『タイレノールA』など。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)以外の代表的な薬で、非ピリン系解熱鎮痛薬と言われ、炎症を抑える効果は弱く、『脳内の中枢神経に作用』し解熱鎮痛効果を発揮します。
アセトアミノフェンの鎮痛効果はNSAIDsと比べて効果は下がりますが、安全性が高く、NSAIDsにくらべて胃腸障害を起こしにくく、小児や妊婦にも使用できる薬です。とはいえ、乱用してよいものではありません。
アセトアミノフェンの副作用としては、発疹や嘔吐などが報告されています。また肝機能障害があります。
ここまで一息に鎮痛剤の紹介をしてきましたが、次回はリスクと正しい使い方についてお話します。
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