潰瘍性大腸炎の治療・内科治療⑦血球成分除去療法(CAP)について
潰瘍性大腸炎の治療法を見ていると、薬だけではなく『血球成分除去療法』という少し特殊な位置付けの治療法が出てくることがあります。
名前だけ見るとちょっと物々しく感じますよね。
実際、私自身もクローン病なので、この治療を自分で受けたことはありませんし、周囲でも潰瘍性大腸炎の方でないとあまり話題に上がりません。
そのため、今回は体験談ベースではなく、潰瘍性大腸炎で用いられる治療法のひとつとして、基本情報を整理する形でまとめておきます。
血球成分除去療法とは?
血球成分除去療法は、英語では CAP(cytapheresis) と呼ばれることがあり、ざっくりいうと、【血液をいったん体の外へ出し、炎症に強く関わる白血球成分を取り除いてから体内へ戻す治療】です。
潰瘍性大腸炎では、特に 顆粒球や単球といった炎症に関わる細胞を吸着・除去する方法が使われます。
薬のように「飲む」、「注射する」という治療ではなく、体外循環を使って炎症に関わる血球を減らす という、少し変わったタイプの治療法なんですね。
潰瘍性大腸炎でよく知られている機器としては 【アダカラム】 があります。
アダカラムは、酢酸セルロース製のビーズが入ったカラムに血液を通し、主に顆粒球・単球を吸着除去する仕組みです。
潰瘍性大腸炎ではどういう位置づけ?
現在の日本の潰瘍性大腸炎治療指針では、血球成分除去療法は、
『活動期の潰瘍性大腸炎に対する寛解導入治療の選択肢のひとつ』
として位置づけられています。
2024年改訂の治療指針では、アダカラムについて 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法 に適応追加されたことが明記されています。なお、中等症では難治例に限る扱いです。
つまり、血球成分除去療法は
「潰瘍性大腸炎で、炎症が強く、寛解導入が必要なときに検討される治療法」
と理解しておくとわかりやすいと思います。
いわゆる5-ASA製剤のような基本薬とは少し位置づけが違い、ステロイドや他の治療と並んで、寛解へ持っていくための手段のひとつ と考えるのが自然です。
どうやって行うの?
血球成分除去療法は、点滴のように血管を確保して、血液を体外循環装置に通して行います。
一般的には 1回あたり約60分程度 で行われることが多く、潰瘍性大腸炎では 週1~2回 のペースで行われることがあります。
症状が落ち着いてからは、2週間に1回程度 で行う場合もあると案内されています。
このあたりは病院や病状によって変わる部分もあると思いますが、少なくとも患者側の感覚としては、1回で終わる治療ではなく、ある程度回数を重ねていく治療と考えておいたほうがよさそうです。
1回あたりの時間は60分そこそことはいえ、週に1~2回というのは感覚的には結構億劫な感じはしますよね。
薬のように毎日自分で飲むものではない一方、通院や治療時間が必要になるという意味では、通院と生活との兼ね合いも出てくる治療法ですね。
どんな特徴があるの?
血球成分除去療法の特徴としてまず挙げられるのは、『薬を追加するのとは少し違う考え方の治療 』だという点です。
飲み薬や注射薬のように体の中へ新たに成分を入れるというより、『炎症に関わる細胞を物理的に減らす方向から炎症を抑える』イメージです。
そのため、患者さんによっては、
「できれば薬をどんどん重ねたくない」、
「薬だけとは別の方法も検討したい」
という文脈で話題に上がることもあるようです。
また、位置付けで説明した通り、潰瘍性大腸炎では一定の有効性が示されていて、ガイドラインでも寛解導入治療のひとつとして扱われています。
一方で、もちろん万能というわけではなく、どの患者さんにも必ず強く効く、という単純な話でもありません。
やはり、『治療法の選択肢のひとつ』として位置づけられている、という理解がちょうど良いと思います。
クローン病ではどうなの?
ここは、クローン病の立場から見ていると気になるところですよね。
私の主治医の話でも、
「潰瘍性大腸炎ではある程度効果が見込まれるけれど、クローン病ではあまり効果がはっきりせず、実際にはほとんど行わない」
というニュアンスでした。
実際、IBD診療ガイドラインでも、血球成分除去療法は 潰瘍性大腸炎では位置づけがある一方、クローン病では有用性がはっきりしない、という扱いに近く、潰瘍性大腸炎ほど中心的な治療ではありません。
アダカラム自体は機器としてクローン病にも使われることがありますが、少なくとも日常診療の印象としては、クローン病では一般的な治療というよりかなり限定的 と見てよさそうです。
なので、クローン病メインで情報を見ている方からすると、
「聞いたことはあるけど、自分の周りではあまり見ない」
という感覚になりやすいのも自然だと思います。
維持療法としてはどう考える?
潰瘍性大腸炎の治療指針では、血球成分除去療法で寛解導入された場合、その後の維持療法については、それまでの経過に応じて考えていく形になっています。
つまり、まずは寛解導入のための治療としての意味合いが強く、その後どう維持していくかは患者さんごとの経過や既存治療との兼ね合いで決まる、という理解が近いです。
このあたりは、5-ASAや生物学的製剤のように「導入も維持もこれでいく」というシンプルな整理ではなく、少し個別性の強い治療法という印象があります。
寛解したら治療そのものをやめてしまう患者さんもいますし(自己判断でやめることは望ましいとはいえません)、生物学的製剤やJAK阻害剤に切り替える方もいますし、継続的に血球成分除去療法を選択する方もいます。
寛解後の維持方針は患者さんごとに異なり、主治医と相談しながら決まっていきます。
一人一人の考え方と医師と相談の上で、納得のいく治療の選択ですね。
まとめ
血球成分除去療法(CAP)は、血液を体の外に通し、炎症に関わる顆粒球・単球などを除去することで炎症を抑えることを目指す治療法です。
潰瘍性大腸炎では、活動期の寛解導入治療の選択肢のひとつとして位置づけられており、特に中等症から重症のケースで検討されます。
一方で、クローン病では潰瘍性大腸炎ほど一般的ではなく、有効性の面でも扱いが異なります。
そのため、潰瘍性大腸炎では知っておきたい治療法のひとつ、クローン病ではやや特殊寄りの治療法と考えるとわかりやすいかもしれません。
私自身はこの治療を受けたことがないため体験談ではなく基本情報の整理にとどめました。
正直、血球成分除去療法は、患者同士の会話の中でもそこまで頻繁に出てくる話題ではないかもしれません。
少なくとも私はクローン病なので、自分の実体験として語れることはほとんどありません。
でも、潰瘍性大腸炎の治療全体を見渡したときに、
「薬以外にもこういう寛解導入の手段がある」
と知っておくことには意味があると思います。
特に潰瘍性大腸炎は、5-ASA、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤、JAK阻害薬など、本当に治療選択肢が幅広いです。
その中で血球成分除去療法は、少し異なる方向から炎症にアプローチする治療法として存在しているわけです。
そのため、クローン病にはあまり関係なく、体験談としては語れなくとも、IBD仲間の潰瘍性大腸炎の治療全体を見渡す上で、知識として基本情報を知っておく価値のある治療法だと思っています。
※参考元
IBDプラス、Mindsガイドライン、IBD Japan資料PDFなどの公開情報をもとに整理しています。
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