夏はビールが美味い!でも中性脂肪が…お酒・糖質・血液検査の見方を整理
夏になると、やっぱり冷たいビールが美味しいですよね!
暑い日の仕事終わり、お風呂上がり、焼き物や揚げ物と一緒に一杯。
この季節ならではの楽しみだと思います。
ただその一方で、健康診断や血液検査で
「中性脂肪が高いですね」
と言われると、一気に現実に引き戻される感じもありますよね。
しかも中性脂肪って、血圧や血糖値ほどイメージしやすくない。
高いと何がいけないのか、お酒とどう関係しているのか、コレステロールと何が違うのか、意外とわかりにくい項目なのではないかと思います。
今回は、中性脂肪を主軸にしながら、
- 中性脂肪とは何か
- 基準値はどれくらいか
- HDLやLDLとの関係
- お酒や糖質でなぜ中性脂肪が上がるのか
- 急に上がるときはどんなときか
- 夏にできる現実的な調整の工夫
を、なるべくわかりやすく整理してみます。
※この記事は、血液検査の見方や生活習慣を理解するための一般的な整理です。診断や治療の判断は、必ず主治医と相談してください。
※中性脂肪の基準値や治療判断は、医療情報・学会基準・検査機関で多少表現が異なることがあります。
中性脂肪ってそもそも何?
中性脂肪は、トリグリセリドといい、血液検査ではTGと表記されることが多いです。
体の中でエネルギー源として使われたり、余ったエネルギーを蓄えたりする脂肪です。
つまり、本来は悪者ではありません。必要な脂質です。
問題になるのは、これが多すぎる状態です。
食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、アルコール、糖質過多などが重なると、使い切れなかったエネルギーが中性脂肪として増えやすくなります。高トリグリセリド血症の原因として、過度の飲酒、糖質・単純炭水化物の多い食事、運動不足、甲状腺疾患などが挙げられています。
ざっくり言えば、
- 食べたもの・飲んだものからエネルギーが入る
- 使い切れない分が余る
- その余りを脂肪として蓄える
- その一部が血液検査の「中性脂肪」にも反映される
というイメージですね。
基準値はどれくらい?高すぎるとどうなる?
中性脂肪は、一般に『 150mg/dL未満 が正常域』の目安とされ、『150〜199mg/dL が軽度高値』、『200〜499mg/dL が中等度高値』、『500mg/dL以上 は高度高値』として扱われることがあります。重症域では膵炎リスクが問題になります。
※基準値や判定区分は検査機関や学会基準で多少異なることがありますが、一般には空腹時で150mg/dL未満が目安とされます。
ここで大事なのは、
一回の数字だけで全部を決めないことです。
中性脂肪は、採血前日の飲酒や食事、空腹かどうかでも動きやすい項目です。医療では、トリグリセリド検査は脂質プロファイルの一部として見られ、コレステロールと合わせて評価されます。
逆に、低すぎる値については、やせすぎ、低栄養、吸収不良、甲状腺機能亢進など別方向の問題が隠れていることもありえます。
なので、高い・低いを単独で見るより、全体で見るほうが大切です。
HDL・LDL・中性脂肪はどう違う?
脂質の話になると、
・HDL
・LDL
・中性脂肪
が並んで出てきて、一気にわかりにくくなりますよね。
ざっくり整理すると、
・LDLコレステロール
いわゆる「悪玉」と言われがち。高すぎると動脈硬化リスクの判断材料になる。
・HDLコレステロール
いわゆる「善玉」と言われがち。低すぎるとやはり問題になる。
・中性脂肪
エネルギー源・貯蔵脂肪。高すぎると脂質異常症や膵炎リスクなどに関わる。
つまり、
中性脂肪だけ見ればいいわけでも、LDLだけ下げれば安心、でもありません。
実際の血液検査では、脂質全体のバランスで判断しています。
中性脂肪は「油もの」だけで上がるわけではない
ここがとても大事です。
一般には
「中性脂肪=脂っこい物が悪い」
と雑に理解されがちですね。脂肪って言葉を見ればそう想像するのは自然かもしれませんが、実際には糖質・炭水化物・アルコールもかなり深く関わっています。
先ほどの『中性脂肪ってそもそもなに?』で整理した通り、多くの医療解説では、余ったカロリー、とくに高炭水化物食品由来の余剰エネルギーが中性脂肪に変わりやすいと説明されています。
どうして糖質や炭水化物が関わるの?
糖質や炭水化物を食べると、体の中ではブドウ糖として利用されます。
でも、使い切れなかった分は肝臓で脂肪合成の材料になり、中性脂肪として増えやすくなります。
つまり、
- ごはん
- 麺
- パン
- 甘い飲み物
- 菓子類
なども、食べ方次第では中性脂肪にかなり関係するわけです。
なので、
『脂ものだけ減らせばいい』
ではなく、
『糖質のとり方も見直す必要がある』
なんですね。
お酒で中性脂肪が上がるのはなぜ?
ここが今回の主軸です。
アルコールを飲むと、肝臓はまずアルコールの分解を優先します。
そのあいだ脂質や糖の代謝バランスが崩れやすくなり、中性脂肪が増えやすい方向へ傾きます。一般に、アルコールは中性脂肪に「特に強い影響」を与えると説明されています。
かなりざっくり流れを説明しますと、
1. アルコールが入る
2. 肝臓がアルコール処理を優先する
3. 脂肪の分解が後回しになりやすい
4. 余ったエネルギーや糖が中性脂肪になりやすい
5. その結果、血中中性脂肪も上がりやすい
という流れです。
しかもアルコールは、食事と一緒だとさらに厄介です。
一般に、アルコールはとくに脂肪を含む食事と一緒にとると食後中性脂肪のピークを上乗せしやすいとされています。
つまり、
『ビールだけが悪い』
のではなく、
『ビール+脂っこい食事+締め炭水化物』
みたいな組み合わせが、中性脂肪の面ではかなり強い、ということです。
こうしてみると、「うん、お酒を飲む方は誰もが中性脂肪が上がりやすい傾向にあるんだな」、ということがわかったかと思います。
急激に中性脂肪が高くなる、ありがちなイメージ例
どんなふうに中性脂肪が急激に高まるのか、ここはありがちなパターンのイメージでみてみましょう。
たとえば、血液検査の前日の夜。
「明日採血だけど、まぁ一晩あれば大丈夫かな」と思って、いつもより少し多めに飲んでしまった。
しかもつい、締めにラーメンまで食べた。
この時点で、肝臓はアルコール分解を優先し、糖質とアルコール由来のエネルギーも重なって、中性脂肪が上がりやすい方向へ傾きます。
さらに翌朝。
「朝ごはん抜きはしんどいな」と思って、採血前なのにガッツリした丼ものをしっかり食べてしまった。
すると、前夜の影響がまだやや残っているところへ、また糖質と脂質が追加される。
結果として、採血ではいつもよりかなり高い中性脂肪が出る、
というのは十分ありうるパターンです。
きくらげの身近では、こういう人多いんですよね……。
このように、中性脂肪は前日の飲酒や食事の影響を受けやすい一方、血液検査ではHbA1cは過去1〜2か月の平均的血糖状態を反映し、当日の食事の影響を受けにくい指標です。
そのため、こうした急激な変動があったとき、医療側は中性脂肪だけを見て即断するわけではなく、
- HDL
- LDL
- γGTP
- HbA1c
- 体重変化
- 飲酒習慣
- 既往歴
などを合わせて見て判断します。
一時的な上振れっぽいのか、慢性的に崩れているのかを全体で判断するわけですね。HbA1cが当日の食事の影響を受けにくいのは、こういう場面でも意味があります。
とりわけγGTPとHbA1cは合わせてとくに注意して見られます。
※ここで挙げた項目がそれぞれなにを示しているは、この場では省略します。すべての仕組みを覚えるのは難しいと思いますし、これらを一緒に見て判断してるんだな、というところだけ理解できればOKかと思います。
急激な上昇でなくとも中性脂肪だけでは判断していない
先ほどの急に中性脂肪が上がるイメージのお話をしましたが、そうでない、常に規則的に空腹時に血液検査をしている場合でも、医療では中性脂肪の値それだけで全部を決めるわけではありません。
実際には同じように、
LDL、HDL、γGTP、AST/ALT、HbA1c、空腹時血糖、体重や腹囲、飲酒習慣、
などを合わせて見ています。
つまり、
『中性脂肪が高い=昨日食べすぎた』
で終わることもあれば、
『中性脂肪も他の項目も慢性的に崩れている』
ということもあるわけです。
飲食以外で急激に上がりやすいのはどんなとき?
中性脂肪が急に悪化しやすいのは、飲酒と食事だけではありません。
高トリグリセリド血症の原因としては、
- 過度の飲酒
- 糖・単純炭水化物の多い食事
- 運動不足
- 管理不良の糖尿病
- 甲状腺機能低下症
- 肝疾患・腎疾患
- 一部の薬剤
などが挙げられています。
なので、
最近あまり動いていない(運動不足)
風邪を引いて寝込んでいた(甲状腺機能の乱れ)
ストレスで食事や飲酒が乱れていた(生活の乱れ)
甲状腺の指摘がある
糖尿病や脂肪肝がある
といった背景も、合わせて見ていく必要があります。
ストレスそのものというより、ストレスで生活が崩れた結果として上がることもかなり多いと思っておくとわかりやすいかと思います。
急性膵炎が怖いのはどんなとき?
ここは少し強調したいところです。
中性脂肪がかなり高い状態では、急性膵炎の原因のひとつになります。
特に 500mg/dL以上 の高度高値では膵炎リスクが意識され、さらに高値になるほど注意が必要です。
とくに危ないのは、
- もともと中性脂肪が高い
- お酒をよく飲む
- 脂っこい食事が多い
- 一度に大量に飲食する
- 健診で指摘されているのに放置している
といったケースです。
つまり、
『中性脂肪が高い=ただの数字の問題』
ではなく、
『膵臓にまで負担が及ぶことがある』
ということです。
急性膵炎になると、『みぞおちあたりから背中に向けて貫くような激痛が走る』と、よく言われています。必ずしもそうなるとは限りませんが、目安の1つとして知っておくと医療を受診しやすくなるでしょう。
IBDの人はどう考えればいい?
ここはこのサイトとしてかなり大事なところになります。
IBDでは、そもそもお酒そのものが腸にとってあまり相性がよくない人も少なくありません。病院や医師によってはアルコール制限を患者にかける場合もあります。
実際、アルコールで下痢しやすくなったり、お腹がゆるくなったり、食欲や体調が乱れたりする人は多いと思います。
しかし、全然お腹に影響こない、という方もいますので、IBDの難しいところではありますね。
そしてIBDでは、症状との付き合い方の中で、どうしても糖質過多に寄りやすい食事になりやすい面があります。
たとえば、体調が不安定なときは、脂っこいものや食物繊維の多いものを避けて、白米、うどん、食パン、麺類、おかゆ、甘い飲み物など、消化しやすく食べやすい糖質中心の食事に偏りやすくなりますよね。
これは悪いことというより、体調を考えた結果として自然にそうなりやすい、という話です。
ただし、糖質はとりやすい反面、量が多くなりすぎると中性脂肪の上昇につながりやすいのが注意点です。
さらにIBDでは、糖質の多い食事や甘い飲み物が続くことで、腸内環境の乱れや、食後の腹部膨満感、下痢っぽさ、血糖変動の大きさなどを通して、体調にあまり良く働かないこともあります。
もちろん、糖質そのものが全部悪いわけではありません。
むしろIBDでは、体調が悪いときに必要なエネルギー源として糖質が役立つ場面も多いです。
大切なのはゼロにすることではなく、
「糖質に寄りやすい病気だからこそ、気づかないうちに過多になりすぎていないかを少し意識する」
ことだと思います。
つまり、IBDでは
お腹のために選んだ食事が、結果として中性脂肪には不利に働くことがある
という点も、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
また寛解していて普段それほど食事の制限をしていない場合、飲酒に加えて一緒に糖質や脂質の多い料理も食べてしまいがちです。
こうした組み合わせは、やはり、
- 腸に負担がかかりやすい
- 下痢しやすい
- 食べすぎにつながりやすい
- 中性脂肪や体重にも影響しやすい
という意味で、IBDの人には少し不利になりやすいです。
アルコール、糖質、脂質。どれもIBDにとっては一般の方よりも不利に傾きやすいです。
しかし、もちろんのこと、だからといって一律に絶対禁酒とは言えません。
でも少なくとも、
- 夏だから飲みやすい
- 暑いからビールが進む
- つまみも濃くなる
という流れは、腸にも中性脂肪にも優しくはないことが多い、とは言えると思います。
きくらげも晩酌する人間なので注意です。
お酒各種の「ざっくり糖質イメージ」
ここはかなり誤解されやすいので、あくまで代表例ベースでざっくり置いておきます。
銘柄や甘さでかなり変わるので、「これが絶対」ではなく、イメージ用です。
代表例で見ると、
・ビール350mL缶
アサヒスーパードライは炭水化物 3.0g/100mL なので、1缶で 約10.5g。角砂糖3g換算なら 約3〜4個分。 (アサヒビール)
・日本酒1合(180mL)
日本食品標準成分表の普通酒は炭水化物 4.9g/100g。1合をざっくり180gとみると 約8.8g、角砂糖なら 約3個分。 (食品成分データベース)
・ハイボール350mL缶
炭水化物2.1g/100mlなので、1缶で 約7.35g 。角砂糖なら 約2.5個分。(サントリー)
・レモンサワー350mL缶
こだわり酒場のレモンサワーは炭水化物 0.4〜0.9g/100mL なので、1缶で 約1.4〜3.2g。角砂糖なら 約0.5〜1個分。 (サントリー)
※ワインは甘口・辛口・製品差がかなり大きいので、ちょっとここでは外します。
比較する場合は銘柄を固定して栄養表示で比べるのが安全です。
ここで大事なのは、
『糖質が少ない=中性脂肪に無関係』
ではないことです。
アルコールそのものが中性脂肪を上げやすい方向に働くので、糖質だけ見て安心はできません。
結局、糖質オフでもアルコールを含んでいる以上、たくさん飲んだら中性脂肪は上がりやすくなります。
また、ビール4缶(角砂糖およそ16個分)とハイボール4缶(角砂糖およそ10個分)で見れば、ハイボールのほうが糖質が少ないので良さそうに感じますね。
しかし、アルコール度数でみればどうでしょうか?商品によりますがハイボールのほうがビールより高ければ、同じ缶数でもハイボールのほうが良いとはいえないかもしれません。
同じように日本酒二合(角砂糖6個分)というところだけみれば、日本酒のほうが圧倒的に角砂糖の量は少ないですが、日本酒はビールよりもアルコール度数が圧倒的に高いので、やはりアルコールとしてたくさん摂取していることにはなります。
つまり、なんなら良い?ということではなく、糖質の多さだけでなく、アルコールそのものが中性脂肪を上げやすいほうへ働くため、やはり飲む量も一緒に考える必要がある、ということですね。
夏にできる現実的な工夫
とくに病気でない場合、禁止ではなく夏場の調整の話として整理します。
- 毎日飲むなら量を少し減らす
- ビールだけでなく途中で炭酸水やお茶をはさむ
- 揚げ物+締め炭水化物のセットを常態化しない
- つまみを少し軽めにする
- 空腹で一気に飲まない
- 健診で引っかかっているなら「夏だけは特に意識」する
つまり、
『ゼロか100かではなく、少し工夫する』
ですね。
たとえば、
- 1缶を毎日2缶にしない
- 締めのラーメンを毎回つけない
- サラダ、枝豆、冷ややっこ、焼き魚系を増やす
- 週に何日は飲まない日を作る
- 採血前日は特に控える
こうした「ちょっとした工夫」の積み重ねのほうが、現実には効きます。
わりとよく言われていることのまんまですね。
※ただし、血液検査を控えているときは必ず医師の指示に従って飲酒や食事の調整をすること。これだけは絶対です。でないと正しく検査結果を評価できません。
まとめ
中性脂肪は、体にとって必要な脂肪ですが、多すぎると問題になります。
しかも、中性脂肪は油ものだけでなく、糖質・炭水化物・アルコールともかなり深く関わっています。使い切れなかったエネルギーや、アルコール代謝で乱れた肝臓の処理が、中性脂肪を増やしやすい方向へ傾けるからです。
とくに夏は、
- ビールが進む
- 濃い味のおつまみが増える
- 締め炭水化物まで行きやすい
という流れになりやすく、数字を悪くしやすい季節でもあります。
とはいえ、病気でないのでしたら全部禁止、全部我慢、でなくてもいい。
中性脂肪は、仕組みを知って、量と組み合わせを少し調整するだけでも違います。
ついでにこの時期は帰ってからすぐ一杯!でなく、まず補水をしてからにしましょうね。脱水症予防も併せて必要です。
夏を楽しみつつ、腸にも肝臓にも膵臓にも、そして血液検査の数字にも、少しだけ優しい飲み方を考えていきたいですね。
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