怖い合併症・日和見感染症

クローン病
クローン病合併症
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今回は、あまり耳にしたことがないかもしれない難治性感染症、通称『日和見感染』について詳しく解説します。

 

日和見感染って?

この用語は相当に重度の場合しか医師から耳にすることはあまりないかもしれません。普通は気にする必要がないような感染症ですが、端的に死ぬほど弱っている場合に引き起こされます。

私たちIBDは重症の場合、長期に渡る内科的治療を行いますが、絶食しながらの闘いは消耗戦です。いかに中心静脈栄養で補おうとジリ貧です。

こうした低栄養状態と、免疫力を落とすステロイドや免疫抑制剤や生物学的製剤の投与によってさらに感染のリスクは上昇するため、限界ギリギリの状態のときには様々な感染症の警戒が必要になります。

日和見感染症は、こうして宿主の感染に対する防御能力が低栄養状態や投薬、免疫異常といった難病などの原因によって低下した時に、通常ではほとんど病気をおこさないような病原体(弱毒微生物、被病原微生物、平素無害菌などと呼ばれる)によって引き起こされる『難治性感染症』のことをいいます。

 

⚠️ココが大事

宿主の状態に左右されない免疫が正常な患者に生じる、病原性の強い微生物による外から体内に入ってきて感染する通常の感染症と区別されます。

日和見感染症は、通常の感染症とは異なり、難治性で、しばしば重症化して致死的である場合もあり警戒しなければならない病気です。

 

日和見感染症を引き起こすほど弱っている状態って?

日和見感染症を引き起こす要因として、広範な火傷や外傷、中心静脈カテーテル等の器具の使用等の局所的障害、癌・白血病・悪性リンパ腫など悪性腫瘍、膠原病、AIDSなどの疾患、抗腫瘍剤、副腎皮質ステロイドやその他の免疫抑制剤の使用、抗菌剤の長期連用、臓器移植や放射線治療等の医療行為が挙げられます。

いずれも免疫機構がまともに働けない状態ですね。栄養失調症でも同様です。

 

日和見感染の代表的な病原体

日和見感染症を引き起こす病原体としては、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)等の薬剤耐性菌、緑膿菌、セラチア、クレブシエラ、エンテロバクター等のグラム陰性桿菌、結核菌等の細菌、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ニューモチスティス等の真菌、トキソプラズマ等の原虫、ヘルペスやサイトメガロ等のウイルスがあります。

結核菌やカンジダとか緑膿菌とかはポピュラーなので訊いたことあるかもしれませんね。これらは治療薬があるので比較的対処しやすいです。

ですが、中には特効薬がなかったり、あっても副作用が強く使えなかったりします。

これらの病原体は、通常は私達の体に『常在』していて正常な免疫状態では感染症を引き起こさないものであったり(細菌やカンジダ等)、『環境中には多数存在』しいつも暴露されているが、健常人ではその免疫能で発病に至らないものであったり(アスペルギルス等)、過去に不顕性感染し『潜在化』したが、宿主の免疫能が低下したため活性化され発病するのです(結核菌、ヘルペスやサイトメガロウィルス[CMV]等)。

ようするにいつも体内にいるけどザコすぎて速攻免疫に殺される細菌や、空気中いたるところにいる細菌やウイルスだったり、過去体内に侵入したけど増殖できなくて潜伏してる結核菌とか、ですね。

このうち、細菌や真菌の感染症は癌化学療法や血液幹細胞移植などによる『好中球減少時』に起こることが多く、ニューモチスティス肺炎やCMV感染症等は、移植患者や免疫抑制剤の使用による免疫低下状態』になると発生しやすくなります。

こうした治療は免疫力を落とすだけでなく体力も大きく消耗し、低栄養状態になります。アルブミンとグロブリンの値が標準値を下回ると、防御力はほぼ皆無となり、アルブミン製剤グロブリン製剤という『血液製剤』を投与しなければならない非常に危険な状態です。

AIDS患者では、様々な日和見感染症を起こしますが、結核症、CMV感染症、ニューモチスティス肺炎等が感染しやすいです。

AIDSの場合、HIVウイルスが自己免疫を殺し続けているので、日和見感染症になりやすいのです。

 

簡潔にまとめ

原因となる細菌やウイルス、病名、仕組みなど、どれも専門的すぎてよくわからなかったかと思います。ちょっとイメージがしにくいですよね。簡潔にまとめますと、

・ほとんどが乳幼児期に既に感染していて一度勝っている、そして以後も100%免疫の勝ち戦の超ザコ微生物は、通常すぐにぶっ殺されます

空気中そこらへんにいる細菌やウイルスも、簡単に体内に侵入しますが、免疫機構に抑制されて増えることもできず体内に潜伏しています。

・体内にいても悪さができないはど弱く、たとえ多少の悪さをしてもすぐに免疫機構にぶっ殺されるので発症しない、それくらいのザコです。

そんなザコが、免疫機構がまともに仕事できないほどに身体が弱ったときに牙を剥きます。その時のコンディションは対抗できるような状態ではありませんので、ザコ微生物のほうが優勢で厳しい闘いになります。

これが日和見感染症と捉えるとわかりやすいかもです。

※私はサイトメガロウイルスに感染しましたが、正直、勝てない戦でした。抗ウイルス薬はあるものの、体調的に使うのも躊躇われる状態で、しかも薬の副作用は30%の確率で起きてしまうそうで、おまけにその副作用は不可逆的な腎不全等、つまり感染症が治っても元に戻らない病気を招いてしまうリスクも高く、使用を諦めるしかありませんでした。

結局のところ、究極的に日和見感染症も体力と気力勝負、そして運になります。

怖いですね。低体重、低栄養状態、免疫抑制剤やステロイド、生物学的製剤を使っているときにIBDが重症化すると、日和見感染症のリスクは高くなる、ということを覚えておいてください。敵は、IBDだけではないのです。

 

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