今回は腸管を切除する手術の方法として、『開腹手術』、『腹腔鏡補助下手術』、その他の『バイパス術』について、解説していきます。
※切除術式は病状によってかなりケースバイケースですので説明が難しいので、より詳細なことは専門サイトでお調べください。
②腸管切除
- 開腹手術
- 腹腔鏡補助下手術
- バイパス術
があります。それぞれご説明します。
開腹手術
通常クローン病に対する開腹手術は、将来的に複数回の手術を要する場合もあり(吻合部潰瘍)、その都度病変部位に近いところで開腹すると多数の創(手術の傷跡)になったり人工肛門が必要となった場合の障害になったりするため(増設する場所がなくなる)、原則として『正中切開(お腹のまんなかを縦に切る)』で行います。
回腸末端から盲腸の病変の場合(小腸の終わりらへんから盲腸、大腸の入り口らへん:クローン病の病変の一番多いところ)では、臍から下の下腹部の縦の切開となります。病変の部位により臍から下を切開だけでは切除しきれない場合、頭側に切開を延長する必要があります。
※癒着が激しく内視鏡や小腸造影でも病変範囲が特定できない場合など。

腹腔鏡補助下手術
病変部位が狭く孤立している場合には『腹腔鏡補助下手術』も可能です。
クローン病は複数回の手術になることが多いので、できるだけ腹腔鏡を用いて傷を小さく、また癒着の少ない手術として行います。
こうすることで次回の手術がやりやすくなります。
ですが、比較的病状が安定している中での相対的手術適応でしたら可能ですが、病状が酷く範囲が拡い場合には腹腔鏡は難しくなります。
大腸癌や潰瘍性大腸炎の大腸全摘術の場合は、開腹手術ではなく腹腔鏡を用いて傷の小さい治療で行うことが多いです(全部取る前提なので細かいことを気にする必要がないため可能)。
その他に大腸全摘術では『経肛門内視鏡手術』を用いてお腹とお尻の操作を同時に内視鏡下に行うことにより、より精密で、出血を少なく、手術時間を短くすることができます。性機能、排尿機能、女性では妊娠能力の維持にも利点があると考えらています。
腹腔鏡手術では、腹部に5-12mm程度の小さな切開(穴)をあけて(手術の種類によって3から5か所程度)、内視鏡や手術のための鉗子(かんし)やハサミを挿入するための筒(ポート)を挿入します。
お腹をCO2ガス(炭酸ガス)で膨らませ(気腹)、ポートから挿入した内視鏡により腹腔内(術野)の状態をモニターに映し出します。術者は、モニターを見ながら、他のポートから挿入した手術道具(鉗子やハサミ)により手術を行います。最後に切除した病変を小穴より摘出し終了します。
どこにいくつ穴を開けるかは病変部位や範囲によっても変わります。
※私の場合は三点でしたが、腹腔鏡ではどうにもならずそのまま開腹手術に移行しました。
利点は、CO2の気腹により静脈性の出血が抑えられるため、出血量が少なく、内視鏡による拡大視野により、丁寧で安全な手術が可能です。小さな傷跡で術後の痛みも少なく、美容の点においても優れています(摘出する穴はおよそ1~3cmくらい、その他の穴は5mm~1cmくらい)。また術後の回復が早く、早期退院、早期社会復帰が可能です。
可能な限りは腹腔鏡補助下手術を行いたいと医療・患者の両サイド考えることですが、クローン病の場合、各種検査でも病変の範囲の特定がしづらく、お腹の中を見てみないとわからないことも少なくありません。
その為、実際には腹腔鏡補助下手術のみで解決できない場合が多いのが現状です。

バイパス術
バイパス手術は、流れの悪くなっている血管や、癌などにより塞がってしまった消化管などの迂回路をつくる手術です。
例えば膵臓癌で癌を切除できないような場合に十二指腸などが詰まって閉塞してしまうのを防ぐため、胃と腸をつなぐバイパス手術をして食事が取れるようにすることがあります。
つまり、悪いところを使わないで、病変部位より下のところと繋げて他の道を作ってあげる術式です。通常の道は使えなくします。
クローン病では主に狭窄による腸閉塞や大腸癌などの場合に行います。また、一時的なバイパス術で迂回路を作り、当面の間は病変のある腸管を使わないことで回復させたり、温存したりすることもあります。
ただし、バイパス術も基本的には拡張術式や開腹術式で行うことになります。
また、狭窄範囲の特定や吻合時の腹腔内汚染や癒着などの懸念がありますので、腹腔鏡で行うことは少ないです。開腹手術になる場合が多いのです。
言い方が悪いですがクローン病の場合ですと合理的ではない感じです。中途半端な術式で手術回数を増やしてしまうより、悪いところを一回で切除しちゃったほうがいいという判断が多いです。
判断は難しいところで、先生の方針と患者の考えとで要相談ですね。
癌の場合ですと開腹して確実に切除したほうが望ましいです。
ただし、それら切除が困難な場合にはバイパス手術となります。
『クローン病の外科的療法・手術の種類と方法③シートン留置術と人工肛門増設術』に続きます。
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