クローン病の主な合併症としては、これまでお話した通り、狭窄、穿孔、瘻孔、膿瘍、痔瘻などの他、腸閉塞、小腸癌や大腸癌、直腸癌などがありますが、腸管以外のところで起きる合併症についてお話していきます。
今回は皮膚病変と関節痛、関節炎について、解説していきます。
主な腸管外合併症
腸管外合併症には皮膚粘膜系合併症として、アフタ性口内炎、結節性紅斑(けっせつせいこうはん)、壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)、骨・関節系合併症として、強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)、末梢性脊椎関節炎(まっしょうせきせきついかんせつえん)、多関節炎、骨粗しょう症などがあり、その他に胆石などの肝胆膵病変や腎結石、眼病変などがあります。
これらはクローン病だけでなく潰瘍性大腸炎、ベーチェット病などのIBDどれにでも顕れる症状です。
またIBDだけでなく関節リウマチや大動脈炎症候群などの自己免疫疾患、白血病などの血液疾患がある患者さんも発症しやすいです。
これらを追って紹介していきますね。
では『皮膚病変と関節痛』についてお話していきます。
※関節リウマチではありません。
皮膚病変・【壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)】
壊疽性膿皮症は主として足にみられる慢性の皮膚病変で、炎症を伴う深い潰瘍です。初期には赤い隆起や水泡ですが、進行すると破れ、強い痛みを伴うびらんとなって急速に広がります。
症状が改善しても「瘢痕(はんこん)」という痕が残ったり、発熱やだるさの症状がみられることもあります。
潰瘍型、水疱型、膿疱型、増殖型、ストーマ周囲型とあり、
・潰瘍型は、最も多く、数日のうちに進行に深い潰瘍になります。痛みもとても強いです。大腿の付け根から足の先までにできます。
・水疱型は、痛みを伴う小さな水ぶくれができ、破れ、ぐじゅぐじゅとした状態です。膝から下や、肘、肘から手の甲までにできます。
・膿疱型は、潰瘍型の初期症状に似ていますが、潰瘍にならずに膿が溜まっていきます。頭、胴体、腕、脚とどこにでもできます。
・増殖型は、潰瘍型より浅い潰瘍が、できては少しだけ治り、できては少しだけ治りで、潰瘍が盛り上がりながら拡がっていきます。主に胴体にできやすいです。
・ストーマ周囲型は、ストーマ周囲にみられる潰瘍型です。かなり深く痛みの強い潰瘍ができます。
※私は症状でたことがないので写真でお見せすることはできませんが、資料を見ますとどれも見た目は痛々しく、結構グロいです。
皮膚病変と関節痛・【結節性紅斑(けっせつせいこうはん)】
結節性紅斑とは足首やすねにみられる圧痛を伴う赤い腫れや痣が生じる(結節)、皮下脂肪の炎症の一種です。腕や他の部位にみられることもあります。
押すと圧痛があり、酷い場合には発熱、関節痛、だるさなどの症状がみられることもあります。
結節性紅斑では直径1~5㎜程度、大きいものだと10㎝ほどの赤や紫の紅斑がたくさん生じます。境目がはっきりせず、時間が経つとあざのように青っぽい茶色へと変化していきます。
広範囲、あるいは小さいものが複数個できます。
この結節性紅斑は、ベーチェット病の場合ですと全身性であることが特徴的ですね。
また、普通の人でも細菌やウイルス感染による感染アレルギーや、薬物アレルギーとしても顕れることがあります。
※私の場合ですが、広範囲にできたことはなく、結構、すねにポンポンポンっとあちこちに痣みたいに点で出ますね。写真なくてすみません。押すと痛いですが、言うほどあんまり痛くはないかな。
足首にできるときは、結構な圧痛を感じます。そしてとにかく膝から下が重い、しんどい。
ですが放っとくといつの間にか引いてたりします。頻度は高くはありませんが、たまにできては治っての繰り返しで今ではほとんど意識してません。ちょっと鬱陶しいくらいです。
また、クローン病の病態の良い悪いに関係なく起こっていますね。
続いて関節炎についてご説明します。
関節炎の中には一過性の軽度なものと、進行し重症化してしまう指定難病のものまであります。
※関節リウマチではありません。
関節炎-①【強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)】
若年者に(男性に多く女性の2~3倍)、腰痛・仙腸関節痛や殿部痛(坐骨神経痛)や胸部痛(肋間神経痛)、時に股・膝・足関節などの痛みや腫れで発症します。
痛む場所は移動することが多く、安静にしているより身体を動かした方が軽くなるのが特徴です。
まだ特徴的な徴候のない初期には病状の波が激しく、痛みで寝込んでいたかと思うと、翌日には嘘みたいに痛みがなくなり、 バリバリ運動しても大丈夫なほどに回復することもしばしばで、このような特徴から病院に行ってもなかなか確定的な診断得られない為、周囲から誤解を受け、「気合いが足りない」「怠け癖」「だらしない」などの誹謗中傷を受け悩んでしまう患者さんも少なくありません。
病状の進行に伴い、頸椎も含め脊椎の動きが悪くなって体が前傾気味となり、体を反らす、上を見上る、うがいをするといった動作に支障が出てきます。
進行性であることもあり、重症例では初発から10~20年経過すると脊椎が動かなくなり、、日常生活や就労に不自由を感じるようになりますが、全員がそうなる訳ではなく多くの人は、多少の支障はあっても通常の生活を送れます。
この進行度合いでの身体の姿勢は猫背というよりは、長寿のご年配の方を表す海老ですね。結構な『くの字』になります。
原因はまだハッキリとはわかっていませんが、IBDのような自己免疫疾患のような遺伝的素因だけでなく、目の病気(虹彩炎)や皮膚の病気(乾癬、掌蹠膿疱症)に合併することがあります。
これに対し後天的な要因として、細菌感染などにより免疫異常が生じた結果、発症すると考えられています。
こうした免疫異常、一種のアレルギーに基づく炎症は、腱・靭帯が骨に着く部位、つまりは靭帯付着部から始まり、そこから連なる靭帯に炎症が及び、ここに骨化が起こった結果、脊椎・関節の動きが悪くなり、特に酷い一部の重症例では骨性の癒着、すなわち強直『可動性消失』に至ります。
完全に固まってしまうこともあるんですね。そのため重症な場合ですと『指定難病』になります。
怖いですが進行するかどうか経過観察が必要です。
関節炎-②【末梢性脊椎関節炎(まっしょうせいせきついかんせつえん)】
末梢性脊椎関節炎とは体に多く存在する関節部分が炎症を起こしている状態のことを言います。「脊椎関節炎」とは「体の軸に起きるもの』と、『手足に起きるもの』に大別されます。
クローン病患者の「末梢性脊椎関節炎」は主に手足ですね。膝関節や足関節などの末梢関節に炎症が起こりやすいです。
ただし、クローン病などのIBDの炎症の度合いと関節炎の症状は比例しません。寛解期でも痛みが顕れることがあります。
症状は左右それぞれ異なる部位に起こり、一度に複数の関節が炎症を起こすのが特徴です。炎症が起きている関節によってそれぞれ少数関節炎(1〜5箇所)と多発関節炎に分かれます。少数関節炎では膝や足の関節で炎症が起きやすく、多発性関節炎の場合では膝や足の関節以外にも手指を含めた腕の関節で炎症が起きることがあります。
※私は膝と足首が猛烈に痛くなったことがあり、ちょうどのタイミングで外来だったので先生に伝えたら、末梢性脊椎関節炎だろう、と。やはりこれも1週間程度で治まりました。以後何度もこの症状はでてますが、湿布貼ったり揉んだり暖めたり試しましたがなにをやっても効果に違いを感じませんでした。
といった種類があります。先天的後天的いずれにせよ、免疫の異常であることがポイントですね。
また、ステロイドなどの副作用として顕れることもあります。この場合、服用を中断すると治まります。
これら関節炎は一口に『リウマチ様症状』(リウマチみたいな症状だけどリウマチではない)と総称したりもします。それほど酷くなければ関節炎の正確な病種を特定しないで『リウマチ様症状』として放っておく、ということもあります。というのも、とりわけ特別な処置が必要ないから、というのも理由の1つですね。
何故なら、ステロイドや生物学的製剤が治療薬ですから。既に使用している方のほうが多いわけです。使っていなかった場合、導入することになるでしょう。いずれにしても重症化した場合ですね。
誤認識してはいけないこと
ここで最後に大切なのが、
クローン病の関節炎に関してよく患者さんが勘違いしやすい症状として、『関節リウマチ』が挙げられます。
どゆこと?と言いますと、関節リウマチは進行すると関節付近の骨や軟骨などが破壊されるのに対し、関節炎では骨の破壊は起きません。また、症状は関節リウマチの検査で良くみられる「リウマトイド因子」が検出されるか否かで区別されています。つまり、別物です。
『リウマチ様症状』とは、あくまでも『リウマチのような痛みのある症状』と捉えてください。
※関節リウマチも難治性もしくは重症なものは『悪性関節リウマチ』といい、こちらも指定難病です。
※クローン病と悪性関節リウマチ、あるいは強直性脊椎炎を併発する方もいます。
一過性の関節炎ではなく『指定難病の関節炎を併発することも稀にある』
ということを覚えておいてください。
※ちなみにレミケードは悪性関節リウマチが先に適応されました。もともとレミケードは悪性関節リウマチ用。
詳しくは、『内科的治療・薬物療法・生物学的製剤』を参照ください。
ひとまず、今回覚えることは、『クローン病はよくわからない関節痛、関節炎がしばしば起こり、放っておくと自然と治まる。
酷すぎる場合は別の病気を併発してる可能性もある。』
とだけ覚えておきましょう。
関節炎に関しましては終わります。
次回は『クローンによくみられる腸管外合併症・アフタ、骨粗しょう症』に続きます。
コメント