IBDの手術前にやること|腸管切除術前の説明・検査・準備

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IBDの手術前にやること|腸管切除術前の説明・検査・準備を体験談つきで整理

IBDで腸管切除術を受ける前に、どんな準備がある?

IBDで手術が決まると、手術そのものだけでなく、事前の説明や検査、入院準備がいろいろ入ってきます。

いざ手術となると不安がいっぱいですよね。とくに、【知らないこと】への恐怖心は大きいかと思いますし、知らないからこそ不安は膨らむもの。

ですので今回は、病院によってかなり細かいところに違いはありますが、よくある共通項をと体験談をベースに、手術前にはどんなことをするのか、だいたいの流れをお話していきたいと思います。

 

おおざっぱに全景まとめ

日本の病院の術前説明資料では、主治医・看護師からの説明、麻酔科の術前診察、内服薬確認、採血・心電図・胸部レントゲンなどの術前検査、絶食絶飲、弾性ストッキング、貴金属やコンタクトを外すこと、手術前の清潔ケア などが共通してよく出てきます。麻酔科では検査結果の確認に加えて、現在の薬や持病、口の中や喉、背骨や関節などを診ることがあります。

次の項で一つ一つみていきます。

 

主治医からの手術説明

まずは主治医から、手術の内容、切除する範囲、起こりうる合併症、術後の見通しなどについて、あらたまった説明があります。
この段階で、同意書への署名や、家族への説明が入ることもあります。

※ちなみに、きくらげは初回のときしか術前の家族説明は受けませんでした。家族いるとかえって邪魔。心配だからといって手術と関係ないことや他の可能性とか、どうでもいいようなこととか無限に口出しされても進行しない。

成人してるので家族に説明しなきゃいけないとは限らないので、患者本人の意思と理解が前提にしっかりとあるなら、患者から家族へ説明するほうがスマートな場合もある、と個人の体験としては思います。

私から家族へ説明して、最後の診察のときに、こういうことになりましたんでって軽く先生から説明とその場で同意書、ですね。

 

また、こういうこともあります。

「手術は失敗するかもでしょ?」誰もが思う心配と疑問ですよね。
ただ、だからといって必要以上に怖がりすぎなくて大丈夫です。

というのも、手術というのは、主治医が検査結果や全身状態を十分に確認したうえで、メリットとリスクを比較して、行う意義があると判断された場合に提案されるものだからです。

逆にいえば、危険が高すぎる、状態が複雑すぎる、今は手術の利益より不利益が大きい、という場合には、すぐに手術にならず、まず経過観察や別の治療方針が検討されることもあります。

実際、病歴が長く何度も手術を繰り返した古参のIBD患者さんでは、癒着や瘻孔が複雑で、画像検査をしても全体像を把握しきれず、手術そのものが慎重に判断されるケースもあります。
私の知人にもこうした理由で手術をせずに経過をみ続けている患者さんがいます。

ただし、そうしたのはかなり複雑なケースで、初回手術を検討する段階からいきなりそのレベルの話になるとは限りません。
現在は検査や診断の精度も昔より向上しているため、以前より状況を整理しながら治療方針を立てやすくなっています。

しばしば、「海外でないとやれない難しい手術」とか見聞きするかと思います。そうしたお話を見聞きして不安になる方もいるかもしれません。
しかし、そうした特殊なケースをそのままIBDの一般的な腸管切除術のイメージに重ねてしまう必要はありません。

医療制度や保険適用、導入時期の違いによって海外で先に行われる治療があることはありますが、それは単純に日本の医療の質が低いという意味ではありません。
少なくとも、IBDの腸管切除術は日本でも日常的に行われている治療の1つです。
勿論、手術ですから怖さはありますが、必要以上に特殊なケースや極端な話を基準にして、不安を大きくしすぎないことも大切だと思います。

とくに、「テレビで見た、世界でも珍しい特殊中の特殊の病気の海外でしかできない難しい手術」を基準に、手術の恐怖心を抱かないでください。
過剰な不安は、病気と戦うという精神性にとって、治療の妨げになってしまうこともありますので。

大切なのは正しい理解。
「手術は怖いものではあるけれど、今より良い状態にするために検討される治療のひとつだ」
と理解することです。

勿論、主治医から手術の説明を受けた際には、わからないことや不安なことは遠慮なくどんどん聞いて、わかるまでいくらでも聞いて良いので、正しく理解し、納得して、前向きに挑めるのが望ましいです。

 

麻酔科医との相談

麻酔科の術前診察では、麻酔方法の説明、過去の麻酔トラブルの有無、アレルギー、持病、現在飲んでいる薬の確認などが行われます。

必要に応じて、血液検査やレントゲンの結果を確認し、口の中や喉、背骨や関節の診察をすることもあります。
「いつまで飲んでよい薬・止める薬があるか」も、このあたりで説明されやすいです。

ここはかなり重要な部分だと個人的には思ってます。
初回の手術ではわからないことも大きいので「今言われても…」と思うかもですが、私の場合、硬膜外麻酔で使う麻酔薬が合わずに強い血圧低下が起きて術後の離床ができなかったり、また麻酔そのものが全然効かなくて大変厳しい思いをしました。
私の手術歴の中でも使える麻酔薬の選択肢は年々増えていて、4回目5回目の手術のときには望ましい麻酔薬の選択ができ、とても快適でした。

麻酔薬に関しては素人が語るには難しすぎるのでどんな選択肢があるのかという具体的な薬の名称などはここでは挙げられませんが、「選択肢はある」とだけ覚えておいてください。
麻酔科医の先生としっかり話合って、安全で納得のいく選択ができることが望ましいですね。

 

薬剤師との確認

普段飲んでいる薬の確認はとても大事です。
病院のクリニカルパスでも、持参薬の確認 や 手術前後の内服薬の説明、薬剤師からの説明 が記載されています。
IBDではステロイド、免疫調節薬、抗凝固薬などが関係することもあるので、「何を続けて、何を止めるか」は自己判断せず確認する流れになります。
当たり前ですが入院してるのでお薬は病院側で管理することになるので、しっかり服薬情報の共有はしましょうね。安全のためです。

私が説明を受けた範囲では、手術前には生物学的製剤も免疫調節薬もステロイドも、IBD特有のお薬はすべて止めの判断でした。

 

術前検査

よくあるのは、採血、尿検査、心電図、胸部レントゲンです。
病院や全身状態によっては、呼吸機能検査(いわゆる肺活量の検査)などが追加されることもあります。
肺機能検査は全員に必ずとは限りませんが、術前評価の一部として行われる施設があります。

この肺機能検査、結構大変ですが、頑張りましょう。
具体的にどんなことするかというと、

「吸って吸って吸ってぇー!!はいっ!吐いて吐いて吐いて吐いてぇえええー!!まだ吐ける!!まだ吐ける!!頑張って!!まだまだまだまだ!!吐いてぇー!!」

という具合に限界値までやりきるので、「こんなことして大丈夫なの?酸欠で倒れない?」って思ってしまうかもですが、当然のこと専門家と一緒にやりますので止めずに頑張ってください。手術をより安全に行うために必要と判断された検査ですので。

 

食事・飲み物の制限

手術前日は、食事や飲水の制限が入ります。
麻酔後の嘔吐や誤嚥を防ぐためで、前日の夜以降は絶食、時間を区切って絶飲という形が一般的です。

※「気分整えるために朝のコーヒー一杯くらいいいでしょ?」という患者さん、実は少なくないのですが、ダメと指示されたらダメなもんはダメです。きっちり守りましょう。

 

手術前の身体の準備

手術当日までに、入浴や清拭、うがい・歯磨き、へその清掃、爪の確認などが入ることがあります。
また、ヘアピン、指輪、ピアス、入れ歯、コンタクトレンズ、ウィッグ、金属類などは外すよう案内されます。

へその清掃って、ちょっと「へぇー」って思ったかもしれませんね。お腹の手術ですからね。ここ清潔にしないといけないんです。赤ちゃんのおへその清掃とやることは同じです。

剃毛についても気になるところですよね。これもまた病院によって差があるのでしょうけど、自分である程度剃る場合と、手術室に入って麻酔で眠ってから看護師が剃る場合などあります。
気になる場合は聞いておきましょう。
ちなみに、完全丸剃りは多分ないかと思います。私の体験ではすべて完全丸剃りは一度もありませんでした。勿論絶対ないとは言えませんけど。

ストーマの可能性がある場合、最初の主治医からの事前説明を受けたあと、だいたいこの準備のする時点でストーマを作る場所にマーキングが入ることがあります。

 

弾性ストッキングや血栓予防

腹部手術では、術後の血栓予防として弾性ストッキングやフットポンプが使われることがあります。
病院の資料でも、手術室に入る前に弾性ストッキングを着用し、術後にフットポンプを使う流れがよく見られます。

これどんなストッキング?といいますと、自力だけで履くのはちょっと難しいほど、ギッチギチのストッキングです。

手術中から術後、血圧も血流も大きく下がっている状態ですと、末端の血液が送り反れず細かな血管に溜まり、凝固してしまい、血栓になってしまうおそれがあるので、こうしてギッチギチに締め付けて物理的に末端に血液が溜まらないようにします。

 

病衣や持ち物の準備

病院側で病衣が用意されることもありますが、資料上は必要物品として浴衣やタオル類、T字帯、腹帯などが指定されている例もあります。

昔は「浴衣」でしたが、現在は浴衣というより、病院指定の病衣・手術着に着替えるイメージで、必要物品は病院ごとの案内を確認するのが確実です。

それぞれなんのために必要か?といいますと、
まず浴衣(病衣)色々な理由がありますが大きな理由としては意識がない、あるいは自力でまったく動けないベッド上絶対安静でも、看護師が着替えをさせやすいからです。
横向きに寝かせて、浴衣を敷いて片側だけ着せて、ころんと仰向け、反対側にころんと寝かせて反対側に着せる、ということができるんですね。

T字帯とは、ありていに、「ふんどし」です。これも、着替えさせやすいことと、術後は尿道カテーテルが入っているので、股関から管が出ているわけですね。普通のパンツですとちょっと物理的に都合が悪いです。また、看護師がカテーテルの入ってるところの炎症などの確認が普通のパンツだとしにくい、加えて尿道カテーテル周りを看護師が洗浄にくい、などがあります。

腹帯とは、腹部へ巻く帯状の布です。主に傷口の保護、固定、痛みの緩和、術後の安心感(精神的サポート)を目的として、退院後約1ヶ月程度まで着用が推奨されます。
マジックテープ式で簡単に着脱でき、傷口の突っ張り感を和らげる効果があります。

結構大事なのは心理的安心感で、 傷口が見えない安心感や、歩行時に傷が突っ張る感じを軽減する。そもそも傷口を覆うというのはそれだけで安心できるのも。なにもしないで開放させておくって、ちょっとどころじゃない抵抗感ありますよね。

その他、お腹周りを温め、冷えを防ぐ。ドレーンや管の固定、必要に応じてガーゼや医療機器を固定する。などがあります。

 

呼吸法トレーニング

これは近年ではあまりやってないらしいので捕捉程度ですが、【インセンティブ・スパイロメーター】という呼吸練習器を使って術前に呼吸練習を行う場合があります。

どんなものかというと、筒の中にボールが入っていて、息を吹き込むとボールが浮き、その状態を維持するよう吹き込み続ける、という練習をする道具です。
日本で見かける商品名だと トライボール Z、スパイロボール、昔の資料では コーチ2 などがあります。

トライボール Z は、上がるボールの数と持続時間で呼吸練習を行う「流速型」の呼吸練習器として案内されています。スパイロボールも、術前・術後の呼吸機能回復のための自発呼吸訓練器具として販売されています。

この呼吸法の目的は、ざっくりいうと、【大きくゆっくり吸って肺をしっかり広げる練習】です。
専門用語では インセンティブ・スパイロメトリー と呼ばれ、製品カタログでは SMI(Sustained Maximal Inspiration:最大吸気の持続練習) と説明されています。術後に浅い呼吸になって無気肺などを起こしやすいので、その予防や回復補助として使われます。

ただ、今でも一部の病院では使われていますが、昔のように術前に全員しっかり練習する定番、とまでは言い切れず、施設差があるようです。

かつてはインセンティブ・スパイロメトリーを含む呼吸練習は術前リハビリの一環として慣習的に行われてきた一方で、近年では呼吸練習単独の効果は強くは示されておらず、術前にそれだけへ時間を割くべきではないという指摘もあります。
別の報告でも、入院期間短縮の影響で術前訓練は行わず、術後に器具を使った呼吸訓練を始めたとしています。

つまり、今も使う病院はあるけれど、術前にどの程度やるかは昔より施設差が大きいという感じですね。

※ちなみに、きくらげは初回のときやりました。私もそれなりに古参なもので。

 

まとめ

手術前にどんなことをするかというお話をしました。ざっくりまとめると、

  • 手術内容の説明を受ける
  • 麻酔科医と面談する
  • 薬剤師や医師と、飲んでいる薬の確認をする
  • 採血、心電図、胸部レントゲンなどの術前検査を受ける
  • 必要に応じて肺機能検査などを受ける
  • 前日から絶食・絶飲の指示に従う
  • 手術前に入浴、うがい、歯磨き、金属類を外すなどの準備をする
  • 弾性ストッキングなど血栓予防の物品を使う
  • 病院指定の持ち物や書類をそろえる

などです。

私の体験としてはですが、手術に対する恐怖心はまったくありませんでした。「早く切除してほしい!!」と切に願うほどの状態だったので。
ですが、近年の早期発見・緊急でなく計画的な手術への運びですと、そこまでの状態でないことが多いので、手術に対する不安や恐怖心は大きいのかなと予想します。
意外と術前説明が多くて気持ちの準備が必要かもしれません。
この記事が参考になれば幸いです。

 

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