IBDと下痢の違い|普通の下痢と何が違うのか

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IBDと下痢の違い|普通の下痢と何が違うのか

今回はシンプルに下痢について。しかし下痢といっても、原因は本当にさまざまです。
食べすぎや飲みすぎ、冷え、ストレス、食中毒、ウイルス性胃腸炎などでも下痢は起こります。実際、食中毒では腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが代表的な症状として挙げられていますね。

一方で、IBD、つまり潰瘍性大腸炎やクローン病でも、下痢は代表的な症状です。
ただし、IBDの下痢は「ただお腹を壊した」だけとは少し意味が違うことがあります。
IBDでは、腸の粘膜に炎症が起きていて、その炎症や粘膜障害そのものが下痢の原因になるからです。潰瘍性大腸炎では下痢や血便、クローン病では下痢や腹痛、体重減少などがよくみられます。
※IBD症状の基本情報らこちらを参考にしてください↓
クローン病の治療まとめ:箇条書き
クローン病と潰瘍性大腸炎の違い・簡単まとめ

 

さて、では今回は、IBDの下痢と、いわゆる普通の下痢は何が違うのか を、基本から整理してみます。

 

下痢そのものは珍しい症状ではない

まず前提として、下痢自体は珍しいものではありません。
下痢=(直ちに)病気、ということでもありません。

下痢症状の中でも、食中毒や感染性胃腸炎のように、短期間で急に起こって、原因がはっきりしていて、数日でおさまる下痢 は一般によくあります。食中毒では原因微生物や摂取した食品によって、発症までの時間や症状の強さがかなり違います。
これからの季節、とくに注意が必要ですね。食中毒などについてはまた別途記事にしたいと思います。

また、冷えやストレス、自律神経の乱れによっても一時的にお腹を下すことがあります。
この場合は、腸の動きや感じ方が乱れた結果として下痢っぽくなることが多く、原因が落ち着けば症状も一過性で終わることがあります。これは、これまでの【季節の変わり目に不調が出やすい理由と、調子の整え方、、【緊張するとお腹が痛くなるのはなぜ?腸とストレス・自律神経の関係お腹を冷やすと体調を崩しやすいのは本当?冷えと腸の話】、の記事ともつながる話ですね。

しかし、食中毒などと違って冷えやストレスなどは病気か?といいますと、直ちに病気という診断は少なくとも素人判断ではできません。
診断は必ず医師が行います。一過性のものであるか、症状が長く続きストレスケアや自律神経の乱れなど治療が必要な水準か、その判断は難しいです。

まわりくどくなりましたが、
【下痢=すぐに重い病気】とは限りません。

その可能性もあるし、ないかもしれない。
何事も決めつけず、また軽んじてもいけませんね。
とくに健常者の方の場合、「ただの下痢」としてあまり意識もしないケースは少なくないと思います。

また、「昔から下痢しやすい」、「大食いするとすぐ下す」といった人もいますが、そうした状態も本当に軽く見てよいとは限りません。
いつもそうだから、と慣れてしまうと、別の問題を見逃すこともあります。

実際、私の栄養士としての経験の中でも、大食いの方の中には下痢しがちな方はとても多かったです。

どうして下痢をしてしまうのか、その原因はさまざまでここで断定的なことは決して言えませんが、一般論で考えてみても、しょっちゅう、あるいは毎日下痢をするというのは健康上良いこととは思えませんよね。
「昔からそうだから」、「いつもそうだから」、そう軽んじてはいけないことはわかりますね。

ようするに、たかが下痢、されど下痢。何でも「ただの下痢」と思っていいわけでもない というのが大事なところだと思います。

 

IBDの下痢は、腸の炎症が背景にある

IBDの下痢が普通の下痢と違う大きな点は、腸に炎症があることです。
IBDの方にとっては今さらなお話ですが、簡単に復習しますと、
潰瘍性大腸炎では、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が起こり、それによって下痢や血便が出ます。重症化すると、水様性の下痢に粘液や血液が混じることもあります。発熱、体重減少、貧血などの全身症状が伴うこともあります。

クローン病でも、下痢はよくみられる症状ですが、原因は腸管粘膜の炎症による吸収能の低下や、腸の中へ滲出液が出てくることにあると説明されています。さらに、クローン病では夜間にも下痢がみられる場合、病勢が悪化していることが多い傾向があるとされています。

つまり、IBDの下痢は
「冷えたからちょっとお腹を壊した」
「何かに当たったかも」
といった一時的な反応だけではなく、
腸の粘膜そのものが炎症で傷んでいる結果として起きている下痢、であることが多いのです。

しかしながら、じゃあIBDの方の下痢は=病態悪化のサインなの?といいますと、勿論そうとは限りません。
IBDであっても食べすぎや冷えやストレスといった要因による一過性の、つまりは普通の下痢だって起こります。
ただ、こうした一過性・一時的の下痢でも、繰り返すこと、あるいは長期的になることでIBDそのものの悪化を招いてしまうおそれはあります。

ここで言いたいのは、
『IBDによる下痢』と『一時的な普通の下痢』は違います。
ただし、IBDの人であっても、冷えや食べすぎ、ストレスなどによる一時的な普通の下痢は起こります。
つまり、IBDの人が下痢をしたからといって、すべてがIBD由来とは限らない、ということです。

日本語ややこしいですね。
・IBDの下痢→IBD症状としての下痢
・普通の下痢→誰もが起こりうる一過性の下痢

と整理してみましょう。
そして『人』である以上、この普通の下痢はIBDでも健常者でも同じように起こりうる、です。
ここ、非常にニュアンスで誤解を招いてしまうので、伝える側も受けとめる側も注意が必要ですね。

 

普通の下痢と、IBDの下痢は何が違う?

※病的症状としての下痢の差異
ここは、ざっくり比較すると理解しやすいです。

①続き方が違う
普通の下痢は、食あたりや感染など原因が一時的なら、数日でおさまっていくことが多いです。
もちろん長引くこともありますが、短期間でピークがきて、回復に向かうパターンが多いです。

一方、IBDの下痢は、続く・くり返す・再燃寛解をくり返す という形になりやすいです。クローン病でも、多くの場合、症状は良くなったり悪くなったりをくり返します。

 

②血便や粘血便が目立つことがある
普通の下痢では、必ずしも血が混じるわけではありません。
一方で潰瘍性大腸炎では、血便や粘血便 がかなり重要な症状です。軽症では血便がはっきりしないこともありますが、進行すると血液や粘液が混じる便になりやすいです。

クローン病でも血便が出ることはありますが、潰瘍性大腸炎ほど頻度が高いわけではないとされています。

 

③全身症状が出ることがある
普通の下痢でも、感染が強ければ発熱やだるさはあります。
ただ、IBDでは炎症が続くことで、体重減少、貧血、発熱、食欲低下 などの全身症状が出ることがあります。これは単なる「お腹を壊した」とは少し違うところです。

④夜中にも症状が出ることがある
これはかなり大事です。
普通の下痢でも夜にトイレへ行くことはありますが、IBD、特にクローン病では夜間にも下痢が続くこと が病勢の悪化と関連することがあります。

夜中に何度も起きるほどの下痢や腹痛が続くなら、「ただの下痢」で済ませず考えたほうがいいこともあります。

このへんはIBD基本情報なのでおさらいですね。こちらで細かくご説明しています↓
クローン病の治療まとめ:箇条書き
クローン病と潰瘍性大腸炎の違い・簡単まとめ

 

この4つの中でIBD患者としてはとくに留意したいのが①と③です。
まず①については、IBD由来の下痢と普通の下痢は違うけど、普通の下痢であっても続くとIBDを悪化させてしまうおそれがある。だから下痢しにくい生活を心掛けるということ。

そして③。ここは誤解しやすいところですが、IBDは症状がお腹に出やすいだけで、単にお腹だけの病気ではありません。
免疫の異常が背景にある全身性の病気なので、発熱、体重減少、貧血、食欲低下など、お腹以外のサインにも目を向けることが大切です。

 

IBDの人が気をつけたい「見分けにくさ」

ここがかなり大事ですが、さきほどの話の掘り下げです。
IBDがある人でも、下痢=必ず再燃とは限りません。
冷え、ストレス、自律神経の乱れ、食事内容、薬の影響などでも、一時的に下痢っぽくなることがあります。
クローン病では、夜間の経腸栄養や抗生物質でも下痢が出ることがあるとされています。

ただし、だからといって
「どうせストレス」
「冷えただけ」
で片づけすぎるのも危険です。

とくに、

  • 下痢が続く
  • 血が混じる
  • 発熱がある
  • 体重が落ちる
  • 強い腹痛がある
  • 夜間も何度もトイレに起きる

といった場合は、IBDの再燃も含めて考えたほうが安心です。潰瘍性大腸炎でもクローン病でも、こうした症状は病勢悪化のサインになりえます。

つまり、IBDの人にとっては
「一時的な下痢はありうる。でも、いつもの範囲を超えているなら相談する」
というバランス感覚が大切です。

このバランス、とても重要。
お腹に異変があったら気にしてしまうのは当然の心理です。
ですが、「気にしすぎ」というストレスもまた増悪因子です。

ここは知識だけでなく経験が物をいう部分もありますが、見分けにくいからこそ、少しずつ自分なりのパターンを学んでいくこと。
それが、IBDと長く付き合っていくうえで大切なのだと思います。

 

「普通の下痢」と決めつけないほうがいいのはどんなとき?

IBDの有無にかかわらず、次のような場合は注意したいところです。

  • 血便がある
  • 発熱がある
  • 脱水っぽい
  • 強い腹痛がある
  • 数日でおさまらず長引く
  • 何度もくり返す
  • 体重が落ちてきた
  • 夜間も起きるほど続く

こうした場合は、感染、IBD、別の消化器疾患なども含めて考える必要があります。若い人でも、腹痛・下痢・血便が続いたり繰り返したりする場合は、一度大腸内視鏡を勧める医療機関もあります。

 

IBDの下痢は「腸が傷んでいるサイン」として見ることも大事

ここはかなり大事な視点です。
普通の下痢は「一時的にお腹を壊した」と捉えやすいですが、IBDの下痢は、腸に炎症があって、粘膜が傷んでいるサインとして見る必要があることがあります。潰瘍性大腸炎では粘膜の炎症やびらん・潰瘍、クローン病では炎症により吸収が落ちたり滲出液が出たりすることが、下痢の背景にあります。

だからこそ、IBDの下痢は単に回数だけを見るのではなく、
血が混じるか
夜間にもあるか
腹痛の質はどうか
体重や食欲はどうか
何日くらい続いているか
こうした全体像で見ることが大切になります。

この下痢は一過性かな?IBD由来かな?ここだけはしっかり気にして排便チェックをいしていく習慣は、悪化の早期発見にもつながります。
IBDと付き合っていく上で、なんだかんだ、排便チェックだけはどうしても肝要にはなりますね。

 

まとめ

下痢そのものは珍しい症状ではなく、冷えやストレス、食中毒、感染などでも起こります。
ただ、IBDの下痢は、腸の炎症や粘膜障害が背景にある という点で、普通の下痢とは少し意味が違います。潰瘍性大腸炎では血便や粘血便、クローン病では吸収低下や滲出液による下痢、夜間下痢などが重要な手がかりになります。
もちろん、IBDがある人でも一時的な下痢が全部再燃というわけではありません。
でも逆に、全部を「ただの下痢」「ストレス」「冷え」で片づけてしまうのも危険です。
だからこそ、
IBDと下痢の違いを知ることは、必要以上に不安になりすぎず、でも見逃さないためにも大事、なのだと思います。

 

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