寝ても疲れが取れないのはなぜ?眠気と疲労の違い、睡眠以外の原因も整理
今回も睡眠関連ですが、角度を少し変えて睡眠だけの問題じゃないかも?疲労との関係は?そうしたお話です。疲労感まとめなので今回かなり長くなります。
気になるところだけ目次からスキップしてください。
さて、
「それなりの時間は寝ているはずなのに、疲れが取れない」
「朝起きた瞬間からだるい」
「眠いような、体が重いような、なんとも言えない不調が続く」
こうした経験は、多くの方にあると思います。
寝ても疲れが取れないと、まず考えやすいのは
「睡眠時間が足りなかったのかな」
「眠りが浅かったのかな」
ですよね。
勿論、これまでの記事の通り、睡眠不足や睡眠の質の低下は、朝のだるさや日中の眠気につながります。実際、睡眠が不足していると、朝起きても十分に休まった感覚がなく、日中に強い疲れや眠気が出ることがありますよね。
ただし、ここで気をつけたいのが、
「寝ても疲れが取れない=睡眠だけの問題」
とは限らない、ということです。
貧血、脱水、栄養不足、感染症、甲状腺機能の異常、糖尿病、薬の影響、慢性的な炎症、精神的な消耗など、睡眠以外の問題でも、眠気や疲労感は起こります。
こと、『疲労感』は原因を一つに絞りにくい症状であり、医療では睡眠だけでなく、生活状況や持病、服薬、血液検査なども含めて判断されます。
今回は、
「眠い」と「疲れている」は同じなのか、寝ても疲れが取れないときに考えたいこと、睡眠以外にどのような原因があるのか、IBDの疲労はどう考えればよいのか、どこから医療へ相談したほうがよいのか、
を、基本から整理してみます。
※この記事は、疲労や眠気について理解するための一般的な情報整理です。症状から病気を診断するものではありません。強い症状や長引く不調がある場合は、自己判断で原因を決めつけず、医療機関へ相談してください。
「眠気」と「疲労」は同じではない
普段の日常会話では、
「眠い」
「疲れた」
「だるい」
「体が重い」
を、ほとんど同じような意味で使うことがありますよね。
でも、身体の状態として考えると、少し違います。
・眠気
眠気は、ざっくり言えば、
『眠りに入りそうになる感覚、起きていることを維持しにくい状態』
です。
たとえば、
- 座っていると目を閉じたくなる
- 会議や移動中にうとうとする
- 横になればすぐ眠れそう
- 集中していても意識が落ちそうになる
といった状態ですね。
睡眠不足や睡眠の分断、睡眠時無呼吸症候群、生活リズムの乱れなどがあると、日中の眠気が強くなることがあります。
・疲労
一方、疲労は、
『心身の活動能力が落ち、これ以上の活動を続けることがつらいと感じる状態』
と考えるとわかりやすいです。
日本疲労学会では、疲労について、身体的・精神的活動や病気によって生じる不快感と、休養を求める状態を伴う活動能力の低下として整理されています。
疲労では、
- 体に力が入らない
- 動くのがおっくう
- 頭が回らない
- 集中力が続かない
- 少し動いただけで消耗する
- 横になっても眠れるとは限らない
といった感覚が出ることがあります。
つまり、
『眠い人は疲れていることもある』
『でも、疲れている人が必ず眠いとは限らない』
なんですね。
たとえば、体は重くて何もしたくないのに、横になっても眠れない。
こういう状態は、「眠気」というより「疲労感」に近い場合があります。
ここを混同すると、
「疲れているんだから、もっと寝ればいい」
「寝ても治らないから、睡眠の質が悪いに違いない」
と、原因を睡眠だけに絞り込んでしまうことがあります。
まずは、自分が感じているのは、本当に眠気なのか。
それとも、だるさ・脱力感・活動能力の低下なのか。
少し分けて考えてみることが大切です。
寝ても疲れが取れないとき、睡眠に問題がある場合
睡眠以外の原因を整理する前に、まずは睡眠側の問題を簡単におさらいしておきます。
睡眠時間が足りていても、
- 夜中に何度も目が覚める
- 眠りが浅い
- 早朝に目が覚める
- 暑さや寒さで睡眠が分断される
- 寝酒で寝ついている
- いびきや無呼吸がある
- 頻尿や痛みで起きる
といったことがあると、十分に休息できていない可能性があります。
以前の記事でもお話しましたが、
「布団に入っていた時間」と「身体が十分に休めたか」は同じではありません。
中途覚醒による睡眠の分断や質の低い睡眠では、朝に十分な休息感を得られず、日中の疲れや眠気につながることがあります。
ただし、睡眠環境や生活習慣を見直しても疲れが続くなら、睡眠以外の方向も考える必要があります。
寝ても疲れが取れない、睡眠以外に考えたい原因
ここからが今回の本題です。
疲労感はかなり幅の広い症状なので、「これが原因です」と簡単に一つへ決めることはできません。
ここでは、一般的に考えられるものを順に整理していきたいと思います。
原因1.脱水や水分不足
夏場にまず考えたいのが、水分不足です。
脱水というと、
- 強い喉の渇き
- めまい
- 尿が出ない
- 意識がもうろうとする
といったはっきりした症状を想像しやすいですよね。
でも、軽い水分不足では、
- なんとなくだるい
- 頭が重い
- 集中できない
- 力が入りにくい
- 食欲が落ちる
といった、曖昧な疲労感として出ることがあります。
このあたりは脱水症の記事でお話した内容ですね。
とくに夏は、寝ているあいだにも発汗します。
エアコンの効いた部屋では大量に汗をかいている実感がなくても、呼吸や皮膚から水分は失われています。
さらに、
- 下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 食欲低下
- アルコール摂取
- 暑い環境での活動
が重なると、水分と電解質の不足に傾きやすくなります。
「寝たのに朝からだるい」というとき、睡眠だけでなく、前日の水分摂取や発汗、下痢の有無も振り返りたいところです。
脱水症に関する詳細な記事はこちら↓
原因2.貧血
慢性的な疲労感の原因としてよく挙がるのが貧血です。
貧血では、血液が全身へ酸素を運ぶ力が不足しやすくなるため、
- 疲れやすい
- 息切れ
- 動悸
- 顔色が悪い
- めまい
- 頭痛
- 集中力低下
などがみられることがあります。NHSでも、強い疲労感に動悸、息切れ、顔色の悪さなどが伴う場合、鉄欠乏性貧血が考えられると案内されています。
ここで大切なのは、貧血は「寝れば回復する疲れ」とは少し違うことです。
睡眠を十分に取っても、酸素を運ぶ血液の状態が改善するわけではありません。
そのため、
「たくさん寝たのに体が重い」
「少し動くだけで息切れする」
「階段が以前よりつらい」
といった場合は、睡眠不足だけで考えないほうがよいことがあります。
また、鉄だけでなく、ビタミンB12や葉酸の不足などでも貧血につながる場合があります。
では、貧血はどのようなときに起こりやすいのでしょうか。
ありがちな要因としては、
- 月経量が多い
- 妊娠や授乳で鉄の必要量が増える
- 胃や腸から少量ずつ出血している
- 血便や痔などの出血が続いている
- 肉や魚などをあまり食べず、鉄の摂取量が少ない
- 極端な食事制限をしている
- 胃腸疾患などで鉄やビタミンを十分に吸収できない
- 手術などで吸収に関わる腸管が短くなっている
といったことがあります。
鉄欠乏性貧血では、月経量の多さ、妊娠、食事からの鉄不足、胃腸からの出血などが代表的な原因として挙げられています。
IBDの場合は、
- 腸管からの出血
- 炎症による鉄利用の乱れ
- 食事量の低下
- 小腸病変や切除による吸収低下
- ビタミンB12や葉酸の不足
など、複数の問題が重なりやすいです。
ここで大切なのは、やはり貧血は「鉄が足りないだけ」とは限らないことです。
鉄欠乏性貧血のほかにも、炎症、ビタミン不足、腎機能などが関係する貧血があります。
そのため、
「疲れるから鉄分を取ろう」
「とりあえず鉄サプリを飲もう」
と自己判断するより、血液検査で原因を確認したほうが安全です。重い貧血にはなにか病が潜んでいる可能性もあります。
原因3.食事量や栄養が不足している
ここは原因2と関連していることでもありますね。
疲れていると、
「食欲がない」
「料理するのもしんどい」
「とりあえず麺やパンだけで済ませる」
となりやすいですよね。
でも、食事量や栄養が不足すると、身体を動かすためのエネルギーや、身体を維持するための材料も不足します。
ただ、本人としては食べているつもりでも、内容がかなり偏っていることがあります。
たとえば、
- 朝食を抜き、昼は菓子パンだけ
- 夏場はそうめん、うどん、冷たい麺ばかり
- おにぎりやパンだけで一食を済ませる
- 甘い飲み物やゼリー飲料を食事代わりにする
- 食欲がないので果物だけ食べる
- ダイエットで主食も主菜も減らしすぎる
- 胃腸が怖くて食べられるものを極端に狭める
- お酒とつまみだけで夕食を終える
といった形です。ありがちですね。
こうした食べ方では、エネルギー源となる糖質は取れていても、
- たんぱく質
- 鉄
- ビタミンB12
- 葉酸
- 亜鉛
- 電解質
などが不足することがあります。
逆に、肉やプロテインだけに偏って、主食や水分が不足する場合もあります。
つまり、栄養不足というのは、単純に
「食事量が少ない」
だけではありません。
『量は食べているけれど、必要な栄養が偏っている』
ということもあるんですね。
IBDでは、下痢などによって栄養素の吸収が落ちていることもありますし、腸に負担をかけたくないために、白米、パン、うどん、おかゆなどへ寄りやすいことがあります。
体調不良時の選択としては自然ですが、それが長く続けば、たんぱく質や微量栄養素が不足しやすくなることもあります。
「食べているから栄養は足りている」とは限らない。
何を、どれくらい、どのくらいの期間食べているかまで見たいところです。
IBDでは食事からの偏りない摂取が難しい場合には、経腸栄養剤が処方されることがありますね。適宜取り入れていくことも大切かと思います。
いずれにしても、考え方は、
元気の源はご飯!とはいえ、ここでいう「ご飯」は白米だけという意味ではありません。食事です。
そして偏りのない食事とは、『各種栄養素の適正量摂取』です。
「疲れているなら肉を大量に食べればいい」
「栄養ドリンクを飲めばいい」
という単純な話でもありません。
大切なのは、『食べているつもりでも、必要な量や栄養が取れているか』を振り返ることです。
原因4.感染症や風邪の前後
風邪や感染症では、発熱や咳がある時期だけでなく、その前後にも強いだるさが出ることがあります。これは誰でも経験ありますよね。
そりゃ、風邪などの前後はしんどい。
ではどのようにその疲労感はでるのか。
身体が感染に対応しているときは免疫機能が働き、通常より多くのエネルギーを使います。
さらに、
- 食欲低下
- 水分不足
- 睡眠の分断
- 長く横になっていたことによる体力低下
- 咳や鼻づまりによる呼吸のしにくさ
などが重なると、症状が軽くなったあとも疲労感が残ることがあります。
ここでありがちなのが、
「熱だけ下がったから治った」
「咳止めを飲んで仕事へ行けたから大丈夫」
「寝ればそのうち治るだろう」
と、身体の回復が十分でないまま普段の生活へ戻してしまうことです。
解熱薬や咳止めなどの『対症療法』は、つらい症状を和らげるためのものです。症状を抑えて動けるようになったからといって、感染や消耗から完全に回復したとは限りません。
ただし、
『対症療法をしたから風邪が長引く』
という意味ではありません。
注意したいのは、
- 症状を薬で抑えたまま無理を続ける
- 十分な水分や栄養を取らない
- 咳や微熱、倦怠感が長引いても受診しない
- 実際には別の感染症や肺炎などがあるのに、普通の風邪だと思い込む
といったことです。
咳や微熱、体のだるさが長く続く場合には、結核など別の病気が隠れていることもあり、厚生労働省も2週間以上続く咳や倦怠感などでは早めの受診を案内しています。
つまり、
『風邪は寝れば治ることもある。』
『でも、寝ていれば何でも風邪として片づけてよいわけではない。』
ということですね。
市販薬での対症療法でも、医療を受診して処方薬をもらっても、結局は症状が和らいだからと無理をせず、身体が回復するまで休養や水分、食事を確保する必要があります。
症状的には治ったな、と感じても、消耗から回復するまでは疲労感が残ることもあります。
回復している方向にあるのか。それとも、変わらない、悪化している、別の症状が増えているのか。そして『だるさを寝不足だけで片付けない』。
そこは分けて考えたいところです。
感染後の疲労が長く続く場合や、息苦しさ、動悸、発熱の再発などがある場合は、単なる回復途中と決めつけず、医療機関へ相談しましょう。
※風邪の多くはウイルス性で、抗生物質が直接効くものではありません。症状を和らげながら、休養・水分・栄養を確保し、身体の回復を待つことが基本になります。
風邪と抗生物質の関係については、こちらの記事で詳しく整理しています。↓
風邪に抗生物質は効かない?処方されにくい理由とウイルス・細菌の違い
原因5.甲状腺機能の異常
甲状腺、よく聞くけどあまりイメージが沸かないこともあるかと思います。
甲状腺は、端的に、身体の代謝やエネルギーの使い方に関わる臓器です。
そのため甲状腺機能に異常があると、
- 強い疲労感
- 体重変化
- 寒がり、または暑がり
- 動悸
- 発汗
- 便秘や下痢
- むくみ
- 気分の変化
など、全身にさまざまな症状が現れることがあります。
とくに甲状腺機能低下症は、長く続く疲労感の原因の一つとして挙げられています。
甲状腺の問題は、睡眠時間を増やすだけでは改善しません。
また、症状だけで甲状腺機能の異常かどうかを判断するのは難しく、血液検査による確認が必要です。
原因6.糖尿病や血糖の問題
これもよく聞くことと思います。糖尿病でも、疲れやだるさが出ることがあります。
血糖値が高い状態では、血液中に糖があっても、身体がそれをうまくエネルギーとして利用できない場合があります。
NHSでは、強い疲労に加えて、
- 喉が渇く
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
といった症状がある場合、糖尿病の可能性が挙げられています。
また、食事を抜いたり、糖質を一度に大量に取ったりすることで、血糖の変動が大きくなり、食後の眠気やだるさとして感じることもあります。
ただし、
『食後に眠い=糖尿病』
と直結させることはできません。
ここも、症状だけではなく、血糖値やHbA1cなどを含めて医師が判断するところです。
原因7.慢性的な炎症や持病
言われるまでもないことかもしれませんが、身体の中で炎症が続いていると、疲労感が出ることがあります。
炎症があると、身体はその状態へ対応するためにエネルギーを使います。
痛み、発熱、食欲低下、睡眠の分断なども重なれば、疲れやすくなるのは不思議ではありません。
また、心臓、腎臓、肝臓などの病気でも、疲労感が現れることがあります。厚生労働省の罹患後症状の資料でも、倦怠感の鑑別として、貧血、甲状腺機能低下症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、心不全、腎不全、肝不全、薬剤性など、幅広い原因が挙げられています。
つまり、疲労は非常にありふれた症状である一方、
多くの病気で共通して起こりうる、原因を絞りにくい症状
でもあるんですね。
だからこそ、
「ただ疲れているだけ」
「睡眠不足だろう」
と軽く決めつけすぎないことが大切です。
IBDの場合はまさにこれに該当しますから、より慎重に日常の体調をチェックする意識が望ましいですね。
原因8.薬の影響
薬によっては、副作用として眠気やだるさが出ることがあります。
たとえば、
- 抗ヒスタミン薬
- 睡眠薬
- 抗不安薬
- 一部の鎮痛薬
- 血圧の薬
- 精神科領域の薬
- 一部の免疫・炎症を抑える治療薬
などでは、薬の種類や体質によって、眠気や疲労感が出る場合があります。
とくに身近なのは抗ヒスタミン薬ですかね。アレルギー剤です。花粉症などで処方されるかと思います。
ただし、
「この薬を飲み始めてからだるい気がする」
と思っても、自己判断で中止するのは危険です。
処方薬の場合は、飲み始めた時期、症状が出る時間、他に飲んでいる薬などを記録して、医師や薬剤師へ相談しましょう。
原因9.ストレスや精神的な消耗
精神的なストレスでも、疲労感は起こります。
仕事、人間関係、病気への不安、介護、生活環境の変化などが続くと、身体を強く動かしていなくても、実は頭や神経はかなり消耗します。
さらに、
- 緊張で眠りが浅くなる
- 食欲が落ちる
- 活動量が減る
- 呼吸が浅くなる
- 肩や首に力が入る
- 不安で常に考え続ける
といったことが重なると、疲労感はさらに強くなります。
ただし、ここで注意したいのが、
疲労の原因を何でも「ストレスのせい」にしないこと、です。
ストレスは確かに原因の一つになりえますが、先に挙げた通り、貧血や甲状腺、感染症、薬の影響など、身体側の原因が隠れている可能性もありますので、
「検査で何もなかったからストレスかもしれない」
と考えるのと、
「きっとストレスだから検査しなくていい」
と考えるのは、順序が違います。
疲労が長引く場合や日常生活に影響している場合は、ストレスだけと決めつけず、まず医療機関へ相談し、必要に応じて検査を受けることが望ましいですね。
原因10.動かなさすぎ、または動きすぎ
疲れているときは休むことが大切です。
しかし、長く横になり続けたり、ほとんど体を動かさない状態が続いたりすると、筋力や持久力が落ち、少しの活動でも疲れやすくなることがあります。
逆に、
- 仕事が忙しすぎる
- 睡眠不足のまま運動する
- 暑い中で無理をする
- 体調が悪いのに活動量を落とさない
といった、動きすぎでも疲労は蓄積します。
つまり、
『疲れているから一日中まったく動かない』
も、
『疲れていても普段通り無理をする』
も、極端になりやすいんですね。
無理をしすぎれば疲れることは勿論ですが、疲れていると休みの日はずーっと動かないでゴロゴロする、というのはついやりがちですよね。
体力をつけて疲れにくい身体作りをしたり、生活や睡眠のリズムを崩さないためにも朝日は浴びたり、ストレッチや短い散歩など、無理のない範囲で身体を動かし、その日の体調に合わせて調整をすることが大切です。
原因11.低気圧不調
これまでの記事でも扱いましたが、雨の前や台風の時期など、気圧が下がると、頭痛、めまい、耳の違和感、だるさ、眠気、集中しにくさ、古傷や関節の痛み、などを感じる方がいます。
きくらげは結構顕著なタイプです。
これがいわゆる「低気圧不調」や「天気痛」と呼ばれるもので、気圧の変化そのものだけでなく、自律神経の乱れ、睡眠不足、ストレス、もともとの片頭痛や持病などが重なって症状が出ることもあります。
つまり気圧由来もあれば、気圧由来+その他の要因の重なり、でも起こりうる、ということですね。
そのため、
「天気のせいだから仕方ない」
「低気圧だから寝ていればよい」
と決めつけるのではなく、睡眠、水分、食事、活動量など、ほかの要因もあわせて振り返りたいところです。
天気と症状の関係を把握するために、
気圧が下がった日 症状が出た時間、睡眠時間、頭痛やめまいの有無、服薬状況、
などを簡単に記録しておくと、自分の傾向が見えやすくなります。
ただし、強い頭痛、しびれ、ろれつの回りにくさ、激しいめまいなどがある場合は、低気圧の影響と自己判断せず、医療機関へ相談してください。
低気圧不調の仕組みや日常でできる対策については、過去の記事で詳しく整理しています。↓
天気と不調の関係・低気圧不調【関係性と基本情報】
変化球ワンポイント:頭や目の使いすぎでも疲れる?日常よくある悩みと対策を整理
肉体労働をしていなくても、長時間考え続けたり、パソコンやスマートフォンの画面を見続けたりすると、強い疲労感を覚えることがあります。現代人の悩みの1つですね。
目の使いすぎでは、
- 目が重い
- 乾く、痛い
- かすむ
- 頭痛
- 首や肩のこり
- 集中しにくい
- 目を開けているのがつらい
といった症状が起こることがあります。長時間のデジタル画面は眼精疲労の代表的な要因であり、頭痛や首肩の痛み、集中困難につながることがあります。あるあるですよね。きくらげも日々これです。
また、仕事や考えごとを寝る直前まで続けると、頭が活動状態から切り替わりにくくなり、
- 寝つきにくい
- 眠りが浅い
- 考えごとが止まらない
- 翌朝も頭が重い
といった悪循環になることがあります。
つまり、
『頭が疲れているのに、脳が休息モードへ入れていない』
ということですね。
💡ポイント① 冷却シートをおでこに貼るのは意味がある?
目や頭が疲れたときに、冷却ジェルシートなどをおでこへ貼る方もいると思います。
これは、額の皮膚を冷やし、ほてりや不快感を和らげる目的では使えます。メーカーの説明でも、額を冷やすことで気持ちよさを感じ、発熱時のつらさを和らげるものとされています。
ただし、
- 脳の疲労を取り除く
- 眼精疲労の原因を治す
- 睡眠不足を解消する
- 全身の深部体温を大きく下げる
- 疲労そのものを回復させる
というものではありません。
ようするに、
気持ちよく感じる、ほてりを軽くする、気分転換になる
という範囲で考えるのが近いです。
冷却シートは医薬品ではないことも、メーカーから明記されています。
そのため、回復や治癒といった改善といった効果はそもそも保証されていません。
「貼ったら頭がスッキリした」
という体感はありうると思いますが、原因そのものが解決したとは限らない、ですね。
ちなみにきくらげは、シート貼ること自体が不快なので風邪などで熱があっても使いません。こう、ぺったり貼り付いてるのが嫌。邪魔。こういう人もいます。
💡ポイント② エナジードリンクを飲めば疲労は回復する?
こちらも日常的にやりますよね。疲れているとき、エナジードリンクやカフェイン飲料へ頼ることもありますね。
しかし、カフェインには覚醒作用があるため、
- 眠気を感じにくくする
- 一時的に集中しやすくする
- 疲労感を自覚しにくくする
ことはあります。
ただし、これは
『疲労そのものが回復した』
というより、
『眠気や疲労の感覚を一時的に覆っている』
と考えたほうが近いです。
エナジードリンクは製品ごとのカフェイン量に大きな幅があり、海外製品では1本にかなり多く含まれるものもあります。
摂りすぎると、
- 動悸
- 手の震え
- 不安感
- 胃の不快感
- 頭痛
- 夜眠れない
- 睡眠が浅くなる
といった問題につながることがあります。
その結果、
疲れる
→エナジードリンクを飲む
→夜眠れない
→翌日さらに疲れる
→またカフェインを取る
という悪循環にもなりえます。
とくに、
- 夕方以降
- 寝不足の状態
- 動悸が出やすい人
- 不安が強い人
- カフェインに弱い人
- コーヒーやお茶も多く飲む人
では、合計量に注意したいところです。
疲労時に必要なのは、本来、
- 休息
- 水分
- 食事
- 睡眠
- 原因の確認
です。ここ大事!
リポビタンDのような医薬部外品では、1日の用法・用量が必ず明記されています。
エナジードリンクには、この製品には1本あたり◯mgのカフェインが含まれています。と明記されています。
しっかりちゃんと記載されてるので、誤った使い方をしないためにも一読しないといけませんね。
エナジードリンクは、一時的にスッキリしてその場を乗り切るための補助にはなっても、疲労回復そのものの代わりにはなりません。
ゲームのようにスタミナ回復薬でもあれば良いのですが、現実そんな便利なものはないということですね。切実。
IBDの人は「寝ても取れない疲労」をどう考える?
ここが私たちにとっては難しい課題ですよね。
IBDでは、疲労感は珍しい症状ではありません。
とくに再燃時は、腸の炎症、下痢、出血、腹痛、食欲低下、睡眠の分断などが重なるため、強い疲労につながることがあります。IBDの疲労には、炎症そのものへの身体の反応や、貧血が関係することがあるといわれています。
IBDで疲れやすくなる背景としては、
- 腸管の炎症
- 出血による鉄欠乏や貧血
- 下痢による脱水
- 食欲低下や栄養不足
- 腸管からの吸収低下
- 夜間の腹痛や排便による睡眠不足
- 薬の影響
- 病気への不安や精神的消耗
など、複数の要素が考えられます。
そして厄介なのが、IBDでは症状が落ち着いているように見えても、疲労感が残る方がいることです。Crohn’s & Colitis UKでも、再燃や貧血が疲労の原因になる一方、腸症状がコントロールされている時期にも疲労が続く人がいると説明されています。
つまり、
『寛解しているはずだから、疲れるのは気のせい』
ではありません。
一方で、
『IBDだから疲れて当然』
と全部を病気のせいにしてしまうのも危険です。
IBD患者にも、
- 風邪
- 甲状腺疾患
- 糖尿病
- 睡眠時無呼吸症候群
- 薬の副作用
- 別の貧血
- 心臓や腎臓の問題
などは起こりえます。
IBDがあるからこそ、
IBD由来の疲れなのか、別の問題が重なっているのか
を定期検査や診察で見てもらうことが大切です。
きくらげ個人の体感ですが、
やはり活動期の頃は特別疲労感は強かったです。原因は明確で、炎症があるということ、低体重であること、貧血などですね。
しかし、寛解してもほとんど変わらず疲労感・倦怠感はありました。
好転しだしたのは寛解してしばらくして体重が増えはじめてからです。
運動量も体調に合わせて増やしていましたし、体力が少しずつついてきてからはかなり軽減しました。
しかし、短腸に由来する骨粗鬆症や慢性的な脱水症状がでるようになってからは再び疲労感は強くなりました。
その対応として勿論のこと骨粗鬆症治療や、週に二回の補水点滴、経口補水液での水分補給などの対策をとることで疲労感は軽減しましたが、まだ満足というには遠い感触です。
栄養状態は血液検査上問題はありませんが、脱水やストレス、睡眠の影響はかなりあるのではないかと感じています。
このように要因は1つとは限らず、ただ寝るだけでいいとはいえないというとは、きくらげの体感としても同意です。
疲労の原因を探すとき、何を記録すればいい?
疲労は曖昧な症状なので、診察で
「とにかく疲れます」
「なんとなくだるいです」
だけでは、医師側も原因を絞りにくいことがあります。こういうのは一番医師も困るところで、なるべく具体的に言語化したいところです。
しかし、なかなか自分の症状を伝えるのは難しい。なので以下の点を参考にしてみてください。
- いつから始まったか
- 朝・昼・夜のどこで強いか
- 眠いのか、体が重いのか
- 動くと悪化するか
- 休めば軽くなるか
- 発熱、息切れ、動悸はあるか
- 食欲や体重に変化はあるか
- 便の回数や出血はどうか
- 新しく始めた薬はあるか
- 睡眠中のいびきや覚醒はあるか
- 月経や出血の変化はあるか
を簡単に記録しておくと、受診時に伝えやすくなります。
「眠気」と「疲労」を分けて伝えるのも役立ちます。
たとえば、
「7~8時間ほど寝ても、朝から体が重く、階段を上ると息切れする」
「横になると眠ってしまうほど眠く、仕事中にも意識が落ちそうになる」
「眠気はないが、体に力が入らず、夕方になると動けなくなる」
ですと、上記の症状と合わせて判断しやすくなります。
また、
「横になればすぐ寝てしまうほど眠い」
のか、
「体は重いけれど、横になっても眠れない」
のかでも、状況が少し違いますよね。
このへんの状況もきちんと伝えると診断がより的確になるかと思います。
日常生活でまず見直したいこと
原因が病気による場合は、生活習慣だけで解決するとは限りません。
そのうえで、これまでのおさらいをしつつ、日常的に見直しやすい基本的なことを整理します。
1.睡眠時間だけを増やしすぎない
疲れているからといって、毎日長時間眠れば必ず回復するとは限りません。
起床時刻が大きくずれたり、長い昼寝をしたりすると、かえって夜の睡眠リズムが崩れることがあります。
以前の記事と同じく、数字に縛られすぎず、まずは起床時刻や睡眠の分断がないかを見たいところです。
2.水分と食事を振り返る
暑い時期は、水分不足と食事量の低下が重なりやすいです。
「食べていないのに疲れるのは当然」とわかっていても、しんどいときほど実際には抜け落ちやすいんですよね。
完璧な食事でなくても、
水分を切らしすぎない
欠食を続けない
炭水化物だけに偏りすぎない
食べられる範囲でたんぱく質も取る
くらいから見直します。
3.活動と休息を極端にしない
元気な日に一気に動きすぎて、翌日動けなくなる。
しんどい日に一日中寝て、さらに体が重くなる。
こうした波がある方も少なくないと思います。
「動ける日に全部やる」のではなく、少し余力を残す。
休む日でも、体調が許すなら、無理のない範囲で少し身体を動かす。
そのくらいの調整が現実的です。
4.アルコールを疲労回復に使わない
お酒を飲むと気分が緩み、眠くなることがあります。
でも、以前の記事でもお話したように、寝酒は睡眠を浅くしたり、夜間覚醒につながったりすることがあります。
さらにアルコールは脱水や食欲の乱れにも関わるため、
「疲れたから一杯飲んで寝よう」
が、翌朝のだるさを増やすこともあります。
5.疲労の原因を一つに決めつけない
今回、最も大切なところです。
「睡眠不足」
「年齢」
「ストレス」
「夏バテ」
「IBDだから」
どれも原因になりうる一方で、それだけとは限りません。
一つの説明で納得しようとしすぎると、別の原因を見落とすことがあります。
こういう疲れは医療へ相談したい
疲労感はよくある症状ですが、次のような場合は、単なる寝不足として長く様子を見すぎないほうがよいと思います。
- 急に強い疲労が出た
- 日常生活や仕事に支障が出ている
- 十分に休んでも改善しない
- 数週間続いている
- 息切れや動悸がある
- 発熱が続く
- 体重が減ってきた
- 食欲が大きく落ちた
- 血便や出血がある
- むくみや胸痛がある
- 強い日中の眠気がある
- 運転中や仕事中に眠り込みそうになる
- いびきや無呼吸を指摘されている
- 片側の麻痺、ろれつの回りにくさ、激しい頭痛などがある
とくに最後のような神経症状や胸痛、強い息苦しさなどは、疲れの相談というより、速やかな医療対応が必要になる場合があります。
疲労だけで病気を決めることはできません。
でも、疲労を軽く扱いすぎることも望ましくありません。
まとめ
寝ても疲れが取れないとき、睡眠不足や睡眠の質の低下は確かに考えられる原因です。
ただし、疲労感は睡眠だけで起こるものではありません。
- 脱水
- 貧血
- 栄養不足
- 感染症
- 甲状腺機能の異常
- 糖尿病
- 慢性炎症
- 薬の影響
- ストレス
- 活動量の偏り
- 低気圧不調
など、さまざまな要素が関わります。
そして、
「眠い」と「疲れている」は、似ているようで同じではありません。
横になれば眠ってしまうのか。
体は重いけれど眠れないのか。
少し動いただけで息切れするのか。
食事や体重に変化はないか。
こうした違いを見ることで、原因を考える手がかりになります。
とくにIBDでは、炎症、貧血、脱水、栄養不足、夜間症状などが重なり、疲労が起こりやすくなります。
しかし、すべてをIBDや睡眠のせいにしてよいわけでもありません。
寝ても取れない疲れは、身体からの休養サインであると同時に、何か別の不調を知らせるサインであることもあります。
休みの日めっちゃ寝たら元気になった、あるいはエナジードリンクで楽になった、なんてことはあるかと思いますが、一時的なスッキリさだけでは本当に溜まっている疲労が回復できていないこともあります。
かなり雑に一言でいってしまえば、どんなことだって疲労感には繋がりうる、けれどもされど疲労感。なんでも安易に1つの原因と決め付けてで片付けないのこと。
疲労への対応は『休息、水分、食事、睡眠、原因の確認』です、
「最近ちょっと疲れてるだけ」と無視しすぎず、
でも一つの原因へ決めつけすぎず、
また安易にサプリメントやエナジードリンクにも走らず、
自分の状態を少し広い角度から見ていく。
それでも続くようなら、一度医療へ相談する。
そのくらい慎重な付き合い方が、疲労にはちょうどよいのだと思います。
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