迷走神経反射とは?採血・緊張・立ちっぱなしで気分が悪くなる仕組みと対処

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迷走神経反射とは?採血・緊張・立ちっぱなしで気分が悪くなる仕組みと対処

旧Bloggerの記事を大幅適切改善リライト版です。

採血をしたとき。
長時間立っていたとき。
強い痛みを感じたとき。
あるいは、ものすごく緊張したとき。
急に、
「気持ち悪い」
「冷や汗が出てきた」
「目の前が暗くなってきた」
「急に力が抜けた」
「このまま倒れそう」
となった経験はありませんか?

こうした症状の原因の一つに、迷走神経反射があります。
昔から、朝礼などでふらついたり倒れたりした人に対して、
「貧血を起こした」
「脳貧血になった」
などと言うことがありますよね。

しかし、ここは少し注意が必要です。
迷走神経反射は、鉄欠乏性貧血などの「貧血」という病気の一種ではありません。
迷走神経反射では、自律神経の反射によって血圧や心拍数が低下し、一時的に脳への血流が少なくなることで、めまい、吐き気、冷汗、ふらつきなどが起こります。
そして、そのまま一時的に意識を失った場合は、血管迷走神経性失神と呼ばれます。
日本循環器学会でも、反射性失神の一つとして「血管迷走神経性失神」が分類されています。

今回は、
迷走神経反射とは何か
なぜ血圧や心拍数が下がるのか
「貧血」と何が違うのか
失神まで起こると何と呼ぶのか
どんなときに起こりやすいのか
起立性低血圧とは何が違うのか
起こりそうになったらどうすればよいのか
などを、身近な例も交えながら整理してみます。

※この記事は、迷走神経反射や失神について理解するための一般的な情報整理です。めまい・立ちくらみ・失神には、迷走神経反射以外にもさまざまな原因があります。症状だけで自己診断せず、実際に失神した場合や症状を繰り返す場合は医療機関へ相談してください。

※この記事では、迷走神経反射・血管迷走神経性失神の仕組みや分類について、日本循環器学会/日本不整脈心電学会「2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」を参考に整理しています。

日本循環器学会/日本不整脈心電学会「2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」

 

迷走神経反射とは?

迷走神経反射は、自律神経によって起こる反射反応の一つです。
私たちの身体では、意識していなくても、

  • 心拍数
  • 血圧
  • 発汗
  • 消化管の働き

などが自動的に調整されています。
この調整に大きく関わっているのが自律神経です。
自律神経には大きく、

  • 交感神経
  • 副交感神経

があります。これまでも触れてきましたね。
迷走神経は、副交感神経の重要な神経の一つで、心臓や消化管など、さまざまな臓器の調節に関わっています。

痛み、恐怖、長時間の立位、暑さなどをきっかけに血管迷走神経反応が起こると、血管が広がって血圧が下がったり、心拍数が低下したりすることがあります。
その結果、一時的に脳へ届く血流が不足すると、

  • めまい
  • ふらつき
  • 吐き気
  • 冷汗
  • 視界が暗くなる

などが起こり、反応が強ければ意識を失うことがあります。

 

迷走神経反射は「貧血」の一種ではない

ここは、一般的にはかなり混同されやすいところだと思いますのでしっかり分けてお話します。

まず整理すると、
迷走神経反射は「貧血」という大きなカテゴリーの中に含まれる病気ではありません。

一般的に医学でいう「貧血」は、血液中のヘモグロビンが少ないなどの理由によって、酸素を運ぶ能力が低下している状態です。

一方、迷走神経反射では、血液そのものに問題があるとは限りません。
自律神経反射によって血圧や心拍数が低下し、
一時的に脳へ届く血液が少なくなる
ことで症状が起こります。失神は、一時的な脳血流低下によって意識を失う状態として日本循環器学会でも整理されています。 

ですから、ざっくり分ければ、

一般的な貧血
→ 血液そのものの酸素運搬能力などに問題がある

迷走神経反射
自律神経反射によって血圧・心拍数が低下し、一時的に脳血流が不足する

という違いがあります。
日常では「脳貧血」という言葉が使われることがありますが、これはあくまでも『貧血によく似た症状』と理解することが大事で、
「脳貧血になったから鉄分を取ればいい」
というように、鉄欠乏性貧血などと同じものとして扱うのは適切ではありません。

逆に、本当に貧血があって、立ちくらみや疲労感が出ている場合もあります。
つまり、

立ちくらみ=貧血
とも、
立ちくらみ=迷走神経反射

とも、一律には決められないんですね。

 

失神しない場合と、実際に失神した場合

迷走神経反射が起きたからといって、必ず意識を失うわけではありません。
たとえば、

「気が遠くなってきた」
「目の前が暗くなった」
「吐き気がする」
「冷や汗が出てきた」
「急に全身の力が抜けてきた」

けれど、座ったり横になったりしたことで回復した。

こうした、意識を失う一歩手前の状態は「失神前状態(presyncope)」と呼ばれます。
米国心臓協会のFirst Aid Guidelinesでも、失神前状態の症状として、顔色の変化、発汗、ふらつき、視覚変化、脱力感などが挙げられています。 

そして、迷走神経反射によって実際に一時的な意識消失まで起こったものが、
血管迷走神経性失神
です。日本循環器学会の用語集でも「vasovagal syncope=血管迷走神経性失神」とされています。

イメージとしては、

迷走神経反射が起こる

めまい・吐き気・冷汗・脱力感などが出る

失神前状態

さらに脳血流低下が進む

血管迷走神経性失神

という流れですね。
ただし、これは説明しやすく並べたイメージです。
必ずこの順番ですべての症状が出るとは限りません。

 

めまいだけでなく「腰が抜ける」ように感じることもある

迷走神経反射というと、
「立ちくらみ」
「めまい」
を想像しやすいと思います。

でも実際には、
突然、身体の力が抜けたように感じる
こともあります。

人によっては、

「膝から力が抜けた」
「立っていられない」
「腰が抜けたような感じがした」

と表現することもあるでしょう。

失神前状態ではweakness、つまり『脱力感』も症状として挙げられています。 

私たちは日常会話で、
怖すぎて腰が抜けた
なんて言いますよね。

もちろん、この表現をした人が全員迷走神経反射を起こしているという意味ではありません。
「腰が抜ける」という体感は非常に曖昧な言葉ですし、神経・筋肉・血圧・低血糖など別の原因でも力が抜けたように感じることがあります。

ただ、
迷走神経反射でも、めまいや立ちくらみだけでなく、『身体から急に力が抜けて立っていられなくなるように感じる場合がある
ということは覚えておいてよいと思います。

 

迷走神経反射ではどんな症状が出る?

ここまでの整理です。代表的な前兆には、

  • めまい
  • ふらつき
  • 吐き気
  • 冷汗
  • 顔色が悪くなる
  • 身体が熱く感じる
  • 視界が暗くなる
  • 視野が狭くなる
  • 脱力感
  • 腹部の不快感

などがあります。
血管迷走神経性失神では、失神前に熱感、吐き気、ふらつき、トンネル状に視界が狭くなるような感覚などがみられることがあります。

そして反射が強ければ、一時的に意識を失います。
ここで特に問題になるのは、
倒れたことでケガをすること
です。

立ったまま意識を失えば、

  • 頭を打つ
  • 顔をぶつける
  • 骨折する

などの事故につながる可能性があります。
ですから、
「ちょっと気持ち悪いけど我慢しよう」
ではなく、
倒れそうだと感じた段階で安全な姿勢を取ることがとても大切です。

 

どんなときに起こりやすい?

迷走神経反射には、非常にさまざまなきっかけがあります。
代表的なのは、

  • 長時間立っている
  • 暑い場所にいる
  • 脱水している
  • 空腹
  • 疲労がたまっている
  • 強い痛み
  • 恐怖
  • 精神的な緊張
  • 血を見る
  • 採血や注射
  • 排便時のいきみ

などです。
血管迷走神経性失神は、長時間立っていることや、痛み・精神的ストレスなどによって誘発されることがあります。 

重要なのは、
「気が弱いから起こる」わけではない
ということです。ココとても大事⚠️

恐怖や緊張がきっかけになることはありますが、それを受けて実際に自律神経反射が起こり、血圧や心拍数が変化します。
精神論だけで片づけられる現象ではありません。
※これについては後ほど例を挙げて詳しく説明します。

 

採血で倒れるのも迷走神経反射?

採血は、迷走神経反射が起こる代表的な場面の一つです。
採血では、

  • 針を刺される痛み
  • 血を見ることへの恐怖
  • 採血そのものへの緊張
  • 空腹
  • 水分不足

などが重なる場合があります。

しばしば、採血で採る血液の量が多い(スピッツ5本も採られた)など、『血液が足りないからだ』という原因の決め付けを見聞きしますが、ほんの仮に3ml×5本の15ml程度で血液が不足することはまず起こりません。

以前に採血や注射で、

  • 気分が悪くなった
  • 強い冷汗が出た
  • 意識を失った

といった経験があるなら、
採血前に医療スタッフへ伝えておく
ことが大切です。

横になった状態で採血してもらうなど、安全を考慮した対応をしてもらえることがあります。
ここは無理して耐えるところではありません。

 

昔の「朝礼で倒れる子=虚弱・貧血」とは限らない

ここ、未だに誤解があるので大切なところです。

昔は、
「朝礼で倒れる子は身体の弱い子」
というイメージがかなり強かったように思います。

ちょっと古い例ですが、『ちびまる子ちゃん』の藤木くんのような「虚弱な子」というイメージですね。

そして、

「朝礼で倒れた=貧血」
と認識している方も、今でも少なくないかもしれません。
もちろん、本当に貧血があったり、体調が悪かったり、低血圧だったりする人もいます。
ただし、
朝礼で倒れる理由がすべて貧血や虚弱体質というわけではありません。
朝礼のような場面では、

  • 長時間立ち続ける
  • 暑い
  • 空腹
  • 脱水
  • 周囲に大勢の人がいる
  • 緊張する

など、血管迷走神経性失神が起こりやすい条件も重なります。
神経調節性・血管迷走神経性の失神は若年者にもみられ、長時間の立位や精神的ストレス、痛みなどが誘因になりえます。 

ですから、
「身体が弱いから倒れた」
だけではなく、
その人が立位や痛み、恐怖、緊張などの刺激に対して、こうした反射を起こしやすかった
可能性もあるんですね。

そして「ストレスに弱い」という表現も、少し注意したほうがよいと思います。
精神的に弱い・強いという話ではなく、自律神経の反応にはかなり個人差があると考えたほうが適切でしょう。

たとえば、非常に厳しい環境へ挑む登山家や冒険家の体験談でも、強い緊張や予期せぬ出来事の中で気分が悪くなったり、失神に近い状態になったりしたという話があります。

また、普段から厳しいトレーニングや食事管理を続けているアスリートのような方でも、採血や注射では気分が悪くなることがあります。

医療従事者であっても同じです。血液や処置の場面に最初から平気な人ばかりではなく、実習や研修を通して慣れていく方もいれば、どうしても苦手意識が残る方もいる、と医療関係者から聞いたことがあります。

こうした、一般の人から見れば
「どう考えてもメンタルが弱いとは言えないだろう」
という人たちでさえ、痛みや恐怖、緊張などをきっかけに身体が反応することはあります。

つまり、迷走神経反射は、根性や精神力を測るテストではありません。

ですから、症状が出た人に対して
「メンタルが弱い」
「我慢が足りない」
「今の若い人は弱くなった」
などと決めつけるのは適切ではないと思います。

そうした精神論で片づけるより、人によって自律神経反応の出方が違うという身体の仕組みとして考えるほうが、ずっと現実に近いのではないでしょうか。

 

少し特殊な身近な例――発達特性と自律神経反応

ここは、きくらげの身近な体験談です。
少し特殊ですが、きくらげの身近な例では、発達特性のある家族が迷走神経反射を起こしやすく、担当医から、
「自律神経反応には個人差があり、こうした反応が出やすい人もいる」
と説明されたことがあります。

実際、ADHDなどの発達特性と自律神経機能の関係については研究されています。
ただし、ここはかなり慎重に考える必要があります。
ADHDでは自律神経活動に一定の特徴がみられた研究がある一方で、差が確認されなかった研究もあり、研究結果は一貫していません。レビューでも、多くの研究で自律神経機能の違いが報告される一方、相当数で有意な差が認められなかったことが指摘されています。 

そのため、
「ADHDなどの発達障害がある人は迷走神経反射を起こしやすい」
と、一律に一般化することはできません。
身近なケースでそうした説明を受けたことがある、そして発達特性と自律神経機能について研究されている、という範囲にとどめておきたいと思います。
個人差の大きいところですね。

 

緊張や恐怖で血圧が下がるのはなぜ?

ここは少し不思議ですよね。

一般的には緊張すると、

  • 心臓がドキドキする
  • 汗が出る
  • 呼吸が速くなる

といった反応を想像します。
これは交感神経が関係する反応ですね。
ところが、一部の人では痛み、恐怖、緊張などをきっかけに血管迷走神経反応が起こり、
血圧が低下する
心拍数が低下する
方向へ反応する場合があります。

つまり、
「緊張したら必ず血圧も心拍数も上がり続ける」わけではない
ということですね。

旧記事では、これを「自律神経がパニック状態になる」と例え表現していましたが、今改めて整理するなら少し単純化しすぎでした。

自律神経の反応はもっと複雑です。
交感神経と副交感神経も、単純なON・OFFのスイッチのように交代しているわけではありません。
このあたりは、
「そもそも自律神経とはなんぞや?」
という専用記事で改めて詳しく整理したいと思います。

 

迷走神経反射と起立性低血圧は別物

ここも非常に混同しやすいところです。
起立性低血圧と同じように迷走神経反射でも、

  • 立ちくらみ
  • めまい
  • 失神

が起こります。
そのため、体感だけではかなり似ています。
でも、
迷走神経反射と起立性低血圧は同じものではありません。

起立性低血圧は、立ち上がったときなどに、本来なら維持されるはずの血圧を十分に保てず、血圧が低下する状態です。

一方、血管迷走神経性失神は、痛みや恐怖、長時間立っていることなどをきっかけとした反射性失神に分類されます。

日本循環器学会でも、反射性失神と起立性低血圧による失神は分けて扱われています。

ただし、

  • 長時間立つ
  • 暑い
  • 脱水

など、似た状況で症状が起こる場合もあります。
だからこそ、
「立ち上がったらフラッとしたから迷走神経反射だ」
と自己判断することもできません。

起きたときの状況は自分で覚えておいて、それが繰り返される場合、状況や頻度やどの程度の反応だったかなど記録しておくことも原因の特定のためにも大切です。

 

IBDの場合はどう考える?

迷走神経反射は、IBD特有の現象ではありません。
健康な人にも起こります。
そのため、
「IBDだから迷走神経反射が起こりやすい」
と一律に言うことはできません。

ただしIBDでは、

  • 下痢による水分不足
  • 食事量低下
  • 腹痛
  • 排便時のいきみ
  • 採血や点滴を受ける機会

など、迷走神経反射の誘因になりうる状況が重なることがあります。
ですから、
IBDそのものが原因というより、IBD生活の中で誘因が重なることがある
と考えるほうが適切だと思います。

特に脱水しやすい方は、血圧低下も含めて体調管理には気をつけたいところですね。

 

迷走神経反射が起こりそうになったらどうする?

ここは一番実用的なところです。
まず大切なのは、
倒れないこと』。

冷汗が出る。
気持ち悪い。
目の前が暗い。
力が抜けてきた。

「これはまずい」
と感じたら、無理に立ち続けないようにします。

まず安全な場所で座る。
可能なら横になる。

失神前状態では、安全な姿勢として座位や臥位を取ることが推奨されています。 
また、失神しそうな場合には横になって脚を上げる方法が案内されています。 

「もう少しだけ耐えられる」
と無理をして倒れるほうが危険です。

迷走神経反射そのものより、転倒して頭を打つことのほうが大きな事故につながることもあります。

 

前兆がわかる場合は、筋肉へ力を入れる方法もある

迷走神経反射を繰り返していて、
「いつもの感じが来た」
前兆を自覚できる方では、身体的カウンタープレッシャー法という方法があります。

たとえば、

  • 脚を交差し、脚や腹部などの筋肉へ力を入れる
  • 両手を組んで左右へ強く引っ張る
  • 手を強く握る
  • しゃがむ

などです。
きくらげもよく実践しています、
筋肉を強く収縮させることで血圧低下へ対抗し、失神を防ぐ助けになる場合があります。米国心臓協会でも、血管迷走神経性または起立性の失神前状態で、安全な姿勢を確保したうえで身体的カウンタープレッシャー法を用いることが有用とされています。

ただし、
まずは転倒しない姿勢を確保することが優先
です。
また、症状の原因が本当に迷走神経反射なのかわからない状態で、これだけを頼りにするものでもありません。

 

実際に失神してしまった場合

血管迷走神経性失神では、横になることで脳への血流が戻り、比較的短時間で意識が回復することがあります。 

ただし、
失神=すべて迷走神経反射
ではありません。
失神には、

  • 反射性失神
  • 起立性低血圧
  • 不整脈
  • 心臓の病気

など、複数の原因があります。日本循環器学会でも失神の原因は分類して評価されています。

とくに、

  • 意識が戻らない
  • 十分に回復しない
  • 胸痛がある
  • 強い動悸がある
  • 呼吸が苦しい
  • 運動中に失神した
  • 横になっているときに失神した
  • 大きなケガをした

などの場合は、単なる迷走神経反射だと決めつけず、速やかな医療対応を考えます。

まぁ、自分が失神してしまった場合は意識が一時的にない状態なので、自分ではもうどうすることもできません。身近な人や学校や職場、あるいは外出先でたまたま見かけた人など、失神場面に遭遇したときに対応できる)う、対策を理解しておくことが望ましいでしょう。

 

迷走神経反射は「治さなければいけない病気」なの?

迷走神経反射は、健康な人にも起こることがある反射です。
ですから、
「迷走神経反射を一度起こした=直ちに何か大きな病気がある」
というわけではありません。

一方で、
「迷走神経反射だから放っておけばいい」
とも一律には言えません。

失神そのものによる転倒や外傷がありますし、頻繁に起こる場合には日常生活にも影響します。

また、そもそも本当に血管迷走神経性失神なのか、別の原因なのかを確認する必要があります。
血管迷走神経性失神では、発症要因や背景への生活指導、前兆時の失神回避法などが治療・管理の基本になります。日本循環器学会の専門医向け資料でも、生活指導や前駆症状出現時の失神回避法が基本として挙げられています。 

つまり、
「治療法がないから我慢する」
という話でもありません。

起こりやすい状況を知り、安全な対処法を身につけ、必要なら医療機関で原因評価や対策を相談する。
そのように考えるとよいと思います。

 

こういうときは一度相談しよう

特に、

  • 初めて失神した
  • 何度も失神を繰り返している
  • 前兆なく突然意識を失った
  • 運動中に失神した
  • 横になっているときに失神した
  • 胸痛や息苦しさがある
  • 強い動悸を伴う
  • 意識がなかなか戻らない
  • 失神によって大きなケガをした

といった場合には、
「自分は迷走神経反射だから」
と決めつけず、医療機関へ相談しましょう。 

そして診察では、

  • どんな状況だったか
  • 立っていたのか
  • 立ち上がった直後だったのか
  • 採血中だったのか
  • 痛みや恐怖があったのか
  • 吐き気や冷汗などの前兆があったか
  • 胸痛や動悸はなかったか
  • どのくらいで意識が戻ったか

などが重要な情報になります。
可能であれば、起こった状況を覚えておきましょう。

 

日常では「絶対に起こさない」より「起きたときに安全に対処できる」

迷走神経反射を100%避けることは難しいと思います。
採血しなければならないこともあります。
突然痛い思いをすることもあります。
暑い場所に出ることもあります。
緊張する場面を全部避けることもできません。

ですから、
『絶対起こさないようにしよう』

と必要以上に怖がるより、
『自分は何がきっかけになりやすいのか』
『前兆はどんな感じなのか』
『起こりそうなとき何をすればよいのか』

を知っておくことが現実的です。

採血で過去に倒れたなら、最初に伝える。
脱水しやすいなら水分管理を意識する。
長時間立っていて気持ち悪くなったら、無理に我慢しない。
前兆が出たら安全な場所で座る、可能なら横になる。
こうした対応を知っているだけでも、失神による転倒や外傷を防ぐ助けになります。

 

まとめ

迷走神経反射は、痛み、恐怖、緊張、長時間の立位などをきっかけに、自律神経反射によって血圧や心拍数が低下することで起こります。
その結果、一時的に脳への血流が不足し、

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 吐き気
  • 冷汗
  • 視界が暗くなる
  • 脱力感

などが起こり、さらに反応が強くなって意識を失ったものが、『血管迷走神経性失神』です。

そして重要なのは、
迷走神経反射は、鉄欠乏性貧血などの「貧血」という病気の一種ではない
ということ。

さらに、
迷走神経反射と起立性低血圧も別物
です。
立ちくらみや失神には複数の原因があるため、
「倒れたから貧血」
「立ちくらみだから迷走神経反射」
と簡単に決めつけることはできません。

また、昔のように、
「朝礼で倒れるのは虚弱だから」
という単純な話でもありません。
身体が健康な人でも、長時間立っていたり、痛みや恐怖、緊張などが重なったりすることで起こることがあります。

前兆が出たら、まず転倒を防ぐこと。
無理に我慢せず座る、可能なら横になる。
そして、失神を繰り返す場合や、胸痛・動悸を伴う場合などは、
「いつもの迷走神経反射だろう」
と済ませず、医療機関へ相談する。

迷走神経反射そのものを必要以上に怖がるより、
仕組みを知り、自分のきっかけを知り、安全に対処できるようにしておく。
そのくらいの付き合い方が大切なのだと思います。

そして今回、何度も登場したのが、
自律神経
です。
迷走神経反射の仕組みを深く理解しようとすると、どうしてもこの自律神経へたどり着きます。
そこで次は、もう少し大きなところから、
「そもそも自律神経とはなんぞや?」
について、改めて基本から整理してみたいと思います。

 

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